シンクライアントの種類とメリット、デメリット

シンクライアントとは

シンクライアントとは、端末の機能について、最小限に絞りこみ、端末に負担を掛けずに処理は極力サーバー側で行うようにするという仕組みのことです。サーバーで処理が行われたものは画像転送という形で、クライアント端末へ送られます。この際に、ユーザーからはデータを所有しているような感覚に陥りますが、実際は、画面のみが端末に送られているのであって、実際のデータはサーバーにあるのです。

この言葉の語源は、thin(シン、薄い)とclient(クライアント)という二つの言葉からなる造語です。この言葉が生まれる前から、考え方としては存在しており、1990年代から用いられてきました。サーバーが本格的にこのような形式をとるようになったのは2008年ごろです。この頃から、ブームが起こります。

メリット

このようにシンクライアントが注目されるのはメリットがあるからです。セキュリティが向上したり、アクセス性が向上したり、ユーザ端末の管理性が向上したりすることが最も支持される理由です。

特に、セキュリティ面については昨今問題視されることが多いので特に注目を集めています。シンクライアントでは、サーバーで処理を行いユーザ端末には元データを残すことがありません。こうすることで、顧客の個人情報であったり製品の開発情報であったりというような企業が守りたい機密データをユーザ端末に保管せずにすみます。そうすれば、情報漏洩のリスクを少しでも減らせますし、職員も不意のトラブルで自分が情報を漏らしてしまうような危機にさらされることがなくなります。

アクセス性能や管理性能が上がることによってユーザ端末の不調も減らせます。ユーザ端末の動作を減らすことができるのでトラブルが回避しやすいのです。

デメリット

このように良いところばかりを紹介すると本当にリスクはないのかという不安を感じる人も多いものです。導入費用も大きなものになりますので、万が一使用感が悪かったり、うまく使いこなせなかったりすれば損失も大きなものになります。そこで、失敗がないようにしっかりと事前にデメリットについても理解をしておくことが重要です。

シンクライアントを導入することによって起こるデメリットとして、パフォーマンスの低下というものがあります。ユーザー側のパソコンはディスクやCPU、メインメモリといったものの使用量が減らせるのでパソコンのパフォーマンスを上げることができます。しかし、裏を返せばその減らした分の負担はサーバーの方へとかかることになります。複数のユーザーで同時共有をすることになりますから、サーバー側のパソコンには大幅なリソースが必要となるのです。

次に、ネットワークの影響を受けるという点があります。サーバーからの画像出力というのはネットワークを介して行います。そのため、オフライン状態ではすべてのやりとりができなくなり仕事をすることができません。同様にネットワークの遅れがあるような回線を使用している場合には、画像の受け取りやその他すべての業務に遅延が生じる可能性があるのです。この遅延は生産性を下げるだけでなく、従業員のストレスを生み出すものにもなります。

また、すべての情報を集約しているために、サーバーに何かトラブルが起こればすべてのユーザーに影響が出て来てしまいます。しかも、サーバーへの集約率が高ければ、その分システムの二重化やバックアップ体制を整えるのは難しいです。

シンクライアントの方式

メリットとデメリットとを理解した上で導入することを決めたら、次はどの実行方式で導入するかを決める必要があります。この実行方式にもメリットとデメリットがあり、ユーザの環境によって合うものが変わってきます。そこで、メリットとデメリットを理解した上で自分たちのオフィスに合うものを選ぶことが重要です。

まずは一台のサーバーに複数台分のクライアント実行環境を集約するものと、クライアント端末一つひとつに物理機器を追加していくタイプとがあります。集約タイプには、プレゼンテーション型(サーバーベースコンピューティング型)と、仮想PC型(VDI)があります。それに対してクライアントごとに物理機器を追加するタイプはネットブート型とブレードPC型とがあります。

プレゼンテーション型はサーバー上でアプリケーションを起動させて、アプリケーションを複数のクライアント端末で行います。そのため、クライアント端末はキーボードやマウスでの入力情報をサーバーに転送することとサーバーからの画像を閲覧するのみです。仮想PC型シンクライアントは仮想デスクトップに接続してクライアントが使用するので、集約型でありながらも独立した形を作ることができます。

ネットブート型はネットワーク経由でブートすることで永続的な保存が必要なデータはネットワークストレージに保存ができます。ブレードPCはブレードサーバーのクライアント版です。ユーザーごとに専用のハードウェアが割り当てられるので高いグラフィック性能が実現できます。

シンクライアント端末

最後に、エンドユーザが利用する端末、シンクライアント端末について解説します。シンクライアントを実現するときには、ユーザが利用する端末は、専用のシンクライアント端末する場合と、USBやソフトウェアによって通常のパソコンをユーザ端末する場合があります。
専用のシンクライアント端末では、データを保存せず起動と実行に必要なパーツに絞り込んでいますのでより高い安全性を確保できます。専用OSあるいはWindows 10 IoTにて動作します。最小限に絞り込んだモデルではファンもない!というメリットも。また持ち運び可能なノートタイプのものもありモバイル通信機能を追加したものなどもあります。
通常のパソコンを利用するメリットは、すでに導入済みの既存の機器を使うことでコストを抑えられることがあります。ただし、暗号化などの対策を合わせてとるなどで全体のセキュリティを高めることも必要になります。
 
ちなみに、シンクライアントというと、方式を指している場合と、専用ユーザ端末を指している場合があります。
 

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シンクライアントは、コロナウィルス 対策の一環としての在宅勤務対応によって導入が進んでいます。セキュリティ向上や管理コストの削減など「守り」効果、働き方変革など「攻め」の効果、スマートフォンやタブレットの利用が広がりBYOD対応もあり、ますます導入が進んでいくものと思われます。

シンクライアント、特にVDIの導入にあたっては、VDI/仮想デスクトップのTintriのソリューションページもご参考にしてください。