SDDCシリーズ 第2回: ストレージのバリアを越えて

全4回シリーズ「Software-Defined Data Centerの到来、および、ストレージ、ネットワーキングとサーバーの主要動向」 第2回

VMwareが仮想化を主流にする遥か以前から、仮想化は、メインフレーム上、そしてUNIXベースのシステム上で活用されていました。幾つかの重要なイノベーションが世に生まれ、それが広く普及し企業向けに適した技術となって、ようやく仮想化が一般的なものになったのです。x86プラットホームの標準化とLinuxの普及は、コンピューティングを大きく変えました。それと同時に、マルチコア・プロセッサの新世代が到来し、複数のタスクをより少ないサーバー上で走らせる事が可能になりました。そして、VMwareが登場し、ハイパーバイザ上で様々なアプリケーションを実行する仮想マシンから共有の仮想化ハードウェア・リソースまでが適切な抽象化レベルを備えた時、最後の重要なピースはあるべき場所にはまったのです。

ネットワーク:次なるドミノ

TCP/IPがネットワーク・プロトコルを標準化したことで、ネットワークも同様の道を追いはじめました。ギガビット・イーサネットは通信速度を一桁増やしました。OpenFlowは、大規模なネットワーク・スタック内の異なるレイヤー間に新しいレベルの抽象化定義を行おうとしており、この数十年におけるネットワーク化の最も重要な変化への道を開きました。

つまり、サーバーとネットワーク両方にとって、標準化、ハードウェアの革新、適切な抽象化レベルのそれぞれが、「バリア越える」ための重要な要素なのです。

コンピューティング、ネットワーキングはSDDCのビジョンにさらに近づき、従来型ストレージが如何に時代遅れなものかをより明白にしました。前回の投稿で従来型ストレージの欠点、特に仮想化環境についてお話ししましたので、ここでは細部を割愛します。とはいえ、あえて指摘すると、高度なコンピューティング、ネットワーキングを進めたものと同じタイプの技術的イネーブラ(実現のためにキーとなる要素)の出現が、現在ストレージにも起きています。

大きく革新するストレージに対する備え

VM環境の勢いは、抽象化レイヤーを用いてより効率的にサーバーとのやり取りを行える新しいタイプの標準化に導きました。急速な成長とフラッシュ技術の低コスト化は、多くのハードウェアに必要不可欠な変化をもたらしました。フラッシュは、わずか数ラックユニットのスペースだけで数千ものVMを収容する、非常に集積率の高いストレージ・システムを可能にします。とはいえこれまでのフラッシュは、インテリジェント・ストレージ・マネージメントが含まれない単体のユニットで提供されてきました。ここには本質的な欠落が存在します。それは、ストレージとVM間に適用される、適切な抽象化レイヤーです。VMを理解しながら抽象化し、プール化されたストレージ・リソースのメリットを提供することで、シンプルかつ高パフォーマンス、そして費用対効果が高いストレージの提供を実現します。

 

サーバー

ネットワーク

ストレージ

標準化

x86+Linux

TCP/IP

VM

ハードウェア革新

マルチコア・プロセッサ

ギガビット・イーサネット

フラッシュ+10ギガビット・イーサネット

抽象化

ハイパーバイザ
(仮想化OS)

OpenFlow

 

このシリーズの次回の投稿では、ストレージのための適切な抽象化について詳しく解説します。

第1回: Software-Defined Data Centerの到来」を読む

第3回:仮想化が従来型ストレージの欠点を露呈」を読む