SDDCシリーズ 第1回: Software-Defined Data Centerの到来

数週間前、18の企業がプロジェクト「オープンデイライト」(OpenDaylight Project)を組織し、Software-Defined Networking (SDN)共通のオープンソースフレームワークの実現へ向け取り組んで行く事を誓いました。ビジネスターゲットが相違しない限り競合しているこれら多くの企業が、共通の目的を見出したという事実自体が、どれほどSDNが業界の心を捉えているかを表しています。アプリケーションのワークロードを認識し、アプリケーションの要求に対応し自動的かつ効率良くプールされたリソースを割り当てるインフラを持つデータセンターを業界の多くの人々が構想していますが、SDNはそのようなSoftware-Defined Data Center (SDCC)の「大局」構想のほんの一部に過ぎません。 オーバープロビジョニングされたリソースだらけのサイロ型データセンターを構築したり、個々の物理的なシステムを管理したりということではなく、SDDCはインフラのあらゆる側面をより効率良く利用・共有するものです。

Software-Defined Data Centerの到来

SDDCの始まりは、仮想化の持つ「陰と陽」の両面に起因しているところがあります。一方では、サーバー仮想化の見事な成功により、多くの人々が、データセンターにおける残りの要素、特にネットワークとストレージに、同様の原理を適用して同じような大成功を繰り返すことができないものか、という考えを持つようになりました。そして、下層システムの要素を分別・概念化するネットワークを構築することさえできれば、ネットワーク管理者はポリシーをマニュアルで設定する代わりに、すばやくネットワーク接続を設定できるのではないのだろうか、という考えが出てきます。ストレージに仮想環境の入出力パターンを理解させることさえできれば、LUNやボリュームではなく自動的に各仮想マシンのQoSを管理させることさえできれば…と。

ストレージと仮想化の不一致

その一方、しばしば起こることですが、破壊的なテクノロジーの成功は、一連の問題を解決しますが、新たな問題を生み出します。データセンターの仮想化が進むにつれ、ストレージシステムの設計手法と仮想環境のワークロードの要求との間に全面的な不一致が生じました。従来型ストレージを利用した仮想化インフラのストレージ割り当て、管理、パフォーマンスのトラブルシューティングは、不可能とは言えないまでもかなり困難です。この悩みの種が大きくなるにつれ、多くのIT組織はよりSDDCに的を絞ってデザインされた新しいタイプのストレージを切望するようになりました。

近年、かなり大きな技術進歩から恩恵を受けて来たサーバーは当然として、ネットワークなどと比較しても、ストレージはまだかなり遅れています。幸い、コンピューティングとネットワークに抜本的改革をもたらした主要テクノロジーは、ストレージにも活用されています。第2部では、サーバーやネットワークの躍進に貢献した技術を検証し、第3部では新しいタイプのストレージを実現するために何をする必要があるのかについて議論していきます。

第2回: ストレージのバリアを越えて」を読む