リモートデスクトップサービスの特徴やメリット

仮想化とはどのような技術なのか?

通常、CPU・メモリ・ストレージなどのリソースは、物理的な構成に基づき管理・利用されていますが、論理的にリソースを統合・分割するのが仮想化と呼ばれる技術です。仮想化の技術を用いる事で、複数のハードウェアのリソースを一つにまとめて利用する事もできますし、一つのハードウェアを複数のハードウェアのようにして扱う事もできます。こうした物理的な構成によらずに、論理的な構成によってリソースを扱うのは、主に使用されていないリソースを有効活用するのが目的です。

複数のサーバーを使用している場合、各サーバーのリソースの使用率は、稼働率の高いサーバーから余り使用していないサーバーまで、バラバラの状態となってしまいます。それでは、忙しく動いているサーバーと稼働率の低いサーバーが生じて、リソースを効率的に使用していません。そこで、複数のサーバーのリソースを一括管理して、特定のサーバーに負荷が集中するのを防ぎ、全体的な稼働率を平均化すれば、動作も円滑になるでしょう。逆に一つのサーバーのリソースを分割して使用すれば、複数のサーバーのように、一つのサーバーが使えます。複数台のサーバーの役目を一台のサーバーだけで済ませれば、大幅なコストの削減が可能となるでしょう。

このようなリソースの利用方法は、コンピュータが生まれた1960年代以降、継続的に使用されて来た方法です。勿論、現在のCPUやメモリなどとは比較にならないハードウェアを使用していましたが、基本的なリソースの統合や分割の考え方はそのままに、広く仮想化の技術が利用されていた事が知られています。

ストレージを効率的に使用するストレージ仮想化

論理的にリソースの統合と分割する具体的な技術には幾つかの種類がありますが、ストレージ仮想化や仮想デスクトップなどが有名です。ストレージ仮想化の技術は、画像や動画などを扱う機会が増えたために使用するデータ量が飛躍的に増大し、ストレージが不足するために使用されるようになりました。通常はストレージ不足となった時は、より容量の大きなメモリやハードディスクなどを使用する事になりますが、それではコストも掛かりますし運用上の負担も大きくなります。ただネットワークに接続している他のマシンのストレージを、外部のストレージとして使う事もできますが、それでは外部のストレージである事に注意して使う必要があるために、リソースを効率的に使う事はできません。そのため、ネットワークで接続している他のハードウェアのストレージを、統合して使用するストレージ仮想化が注目されるようになりました。

特に管理するハードウェアが数百以上の数になると、数多くのストレージを統合できる専用のハードウェアが必要となります。最初から統合できるように設計されたストレージなので、環境の構築も簡単にできますし、パフォーマンスのチューニングも不要な事がほとんどです。ストレージの量を増やしたり減らしたりといったサイジングも容易ですから、大規模なストレージを扱う場合には、専用のストレージを使うようにした方が良いでしょう。ストレージの利用効率を改善して、運用の負荷を軽くするためには、容易にストレージを統合できるハードウェアを使用する事を検討するべきです。

コンピュータの管理を容易にする仮想デスクトップ

2008年頃から登場した仮想デスクトップも、役に立つ仮想化技術として知られています。仮想デスクトップとは、コンピュータのデスクトップ環境をサーバー上で動かすもので、クライアント仮想化とも呼ばれる技術です。仮想デスクトップを利用すると、アプリケーションやデータなどはサーバー上に存在しますので、クライアントとして使用するコンピュータは、それ程高い性能が必要なくなるというメリットがあります。高性能のコンピュータを用意する必要がなくなるので、コスト削減の効果が期待できるでしょう。

それに、アプリケーションの一元管理ができるため、コンピュータを一台一台管理する必要もなくなりますし、データがクライアント上に残らないので、セキュリティ面の強化にも繋がります。特に不特定多数の人が使用するコンピュータには、仮想デスクトップは適しているでしょう。

こうした仮想デスクトップのメリットは、以前から認識されていましたが、サーバーとクライアント間を、高速で通信する必要があるために実現されませんでした。それが、ネットワークの高速化が現実のものとなったために、実用化されて注目を集めています。個々のコンピュータをカスタマイズする必要がないのであれば、仮想デスクトップを利用して、コンピュータやアプリケーションなどの管理を容易にするべきでしょう。また、何処でも同じデスクトップ環境を構築できる事から、サテライトオフィスや在宅勤務などに利用できると技術しても評価されています。