現実世界の参照アーキテクチャはどれほど現実的か(第一部)

本記事は現実世界における参照アーキテクチャについて解説する2回シリーズの第一部です。

IT部門がVDIや業務アプリケーションのほか、プライベートクラウドなどの異なるワークロードをサポートするインフラを構築するようなケースでは、参照アーキテクチャは一般的な方法になりつつあります。ITのアナリストは、参照アーキテクチャや、その考えをサーバやネットワーク、ストレージ、ソフトウェアの組み合わせとして製品化したインフラ(垂直統合型インフラ)に関するトピックについて幅広くレポートを書いてきました。 Zenoss向けにWikibon が実施した最近の調査によると、組織の75%が垂直統合型インフラの採用でより良くサービスを提供できるようになったといいます。調査では、インフラ採用というモデルを利用することで、ITはリスク軽減、コスト削減、導入時間の短縮、柔軟性向上と同等のメリットを享受することができるといいます。

全ての参照アーキテクチャは同じように作られているわけではない

昨今、さまざまなベンダーが参照アーキテクチャを提供し世間を騒がしていますが、全ての参照アーキテクチャが同じように作られているわけではないと見なすのが無難です。垂直統合を目指すベンダーは、現行の個別提供製品を組み合わせて提供しています。こうした提供形態は、参照アーキテクチャをサーバ、ネットワーク、ストレージサービスの設計図として使用しています。一方で、いくつかのベンダー(その多くの場合はストレージベンダーです)は、自身の従来型ストレージシステムを他社のサーバやネットワーク、ソフトウェアの単なる組み合わせとして参照アーキテクチャを提供してきました。

こうした参照アーキテクチャは、IT部門やSI事業者がインフラ構築(特に仮想化向け)に活用するために製品選択的なソリューション展開において良く見受けられます。残念ながら、上記の2つの間においてそれほどの違いはありません。今日の仮想化環境下では、サーバインフラはVMware vCenterなどの仮想化ソフトウェアを通して管理されており、ネットワークはソフトウェアにますます依存するようになっています。残念ながら既存の参照アーキテクチャにおけるストレージ部分は、仮想化環境向けの最適な設計がなされてきませんでした。これらは仮想化が要求する性能上の課題を解決できるかもしれませんが、仮想化環境のメリットを引き出すために必要なシンプルでより深いレベルまでの稼働状況の分析を可能にする運用管理性をもたらさないかもしれません。

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仮想化環境向けの参照アーキテクチャにおいて、多くのストレージに見られる欠点の例は、データストアもしくはVM単位でストレージを使いながらも、管理者にストレージ(管理ディスク、LUN、ボリューム)の管理を引き続き要求しているという事実です。さらに、参照アーキテクチャの中にはサーバやネットワークに加えてストレージを管理するためだけに複雑なフレームワークの実施を要求するものさえあります。

参照アーキテクチャを評価する際の主要検討事項

それでは参照アーキテクチャをどのように評価すればよいのでしょうか? IT部門の皆さんが異なる選択肢を評価する際に問うことのできる質問例を以下に紹介します。

  1. それは仮想化されたワークロード向けに設計されているか? 

    ほとんど全ての新しいアプリケーションが仮想化環境で開発され、デスクトップ仮想化が主流として受け入れられるにつれて、仮想化した場合のパフォーマンス要求に対処可能なストレージを選択することが重要となります。次の点を検討してください。

    1. 参照アーキテクチャで使用されているストレージは仮想化環境向けに設計されているか?最適なパフォーマンスを引き出すために工数がかさむチューニングや設定作業さえもはや必要としませんし、管理者はパフォーマンス低下を引き起こすVM配置の偏りに煩わされる必要はありません。

    2. そのストレージは、負荷が一時的に高まったVMによるI/O性能の独占を防止する機能を有しているか?他のVMとの共有環境において、他のVMのI/O能力を奪うことになるか?
  2. 運用管理における複雑さをどのように低減するか?

    この点は参照アーキテクチャを評価するのに最も重要な要素です。新たなVMを使えるようにするためのプロビジョニング作業から、パフォーマンスを監視し、データ保護ポリシーを設定する作業に至るまで、その運用性はシンプルでなくてはなりません。ストレージツール、追加のソフトウェア、カスタマイズされたスクリプトを組み合わせて運用する断片的なアプローチを用いると、管理を非常に複雑なものにしてしまい、参照アーキテクチャを活用して業務を効率化するという当初の目標を達成できません。次の点を検討してください。

    1. その参照アーキテクチャは、いまだに管理ディスク、LUN、ボリュームを必要としているか?それとも仮想ディスク(vDisk)対応だけか?
    2. そのツールは、仮想化スタックでのボトルネックを速やかに特定できる完全なエンド・ツー・エンドの可視性を提供しているか?
    3. データ保護ポリシーはVM単位で容易に設定可能か?それともボリューム/LUNレベルでの設定か?

  1. 拡張性はあるか?

    仮想化環境が急速に成長するにつれて、大量のVMを効率的に処理できるストレージの能力だけでなく、運用性や集約度の問題にも注意する必要があります。これは、現実世界の参照アーキテクチャの適用可能性は、規模との関連で考慮しなくてはいけないことも示しています。次の点を検討してください。

    1. 数十もしくは数百のVMをプロビジョニングする作業はどの程度簡単か?VDIのような新たなプロジェクトに対処することはできるのか?
    2. 複数の異なるワークロードを同じストレージシステム上で拡張して行けるか?そのソリューションは変化(増加)するワークロードにどのように対応するか?
    3. その参照アーキテクチャは複数システムにどのように対応するか?スタンドアロンのブロックとして使うのか?それとも、まとめられるのか?

以上は参照アーキテクチャを評価する際に検討する必要のある項目の一部です。このシリーズの第二部では、参照アーキテクチャの現実世界での規模の概念について解説し、仮想化環境で稼働するワークロード向けストレージおよび参照アーキテクチャの特性について詳しく見ていきます。

このトピックについてのコメントをお待ちしています。参照アーキテクチャを評価する際に、あなたが考える他の指標についてぜひお聞かせください