ストレージ業界の2016年「未来予想図」と「今起きていること」

昨年の11 月中旬、Tintriの首脳陣で今後の事業見通しについて話し合いを行いました。製品ロードマップに関する議論もあり、内容的には世間の注目を集めそうなものばかりでした。
実際、その場での将来的な話は実際起き始めており、いくつかの新聞・雑誌、ブロガーの皆さんの記事として取り上げられています。ここで、その場の議論についてお話できることをご紹介します。

2016年はストレージ業界の波乱の年:企業統合/買収や、いくつかの新興ストレージ企業が市場撤退する
DellによるEMC買収はその前哨戦に過ぎません。他のメジャーなストレージ企業は、ほぼ間違いなく統合などの強い圧力にさらされ、買収もしくは株式の非公開化の道をたどることでしょう。
新興ストレージ・ベンダー各社は、初期投資で数十億ドルもかけているため、これらの企業では、これから急成長を遂げて生き残っていくことが難しくなりそうです。
こうした業界再編の動きは2015年に始まり、2016年には業界勢力図が大きく変わっていくと思われます。

2015年12月21日、NetAppが8億7000ドルでSolidFireを買収すると発表しました。このニュースは次々と報道連鎖を引き起こしましたが、実はNetAppユーザーにとっては、何の価値も生み出さないように思います。結局は何ひとつ変わることはないのです。ここに、そう考える3つの理由を挙げてみます。

1.未だ混乱状態

NettAppは、今も混乱状態に陥っているように見えます。製品売上高の減少や、有能な人材の流出から見て取れます。そして、SolidFireはこの苦境を救えるかと言えばそうでもなく、NetAppの製品ラインアップを充実させることにもならないと予想します。買収後、NetAppが保有するフラッシュ・プラットフォームは4つになります(その後、FlashRayを手放したので、実際のところフラッシュ・プラットフォームは3つですが)。また、NetAppは取得した技術の統合をうまく行えるかは見ものですが、買収は単に混乱を引き起こし、先行きの不透明感が高まっているのではないでしょうか?

2.アーキテクチャーはいまだ従来のLUNやボリュームのまま

NetAppがこの苦境に窮している要因には、クラウド時代以前に開発されたストレージアーキテクチャーをそのまま使い続けていること、また、増え続ける仮想化を望む顧客との間の溝が、ますます深まっていることにあるように思います。そしてみなさんもご存知のように、SolidFireは従来からのLUNとボリュームをベースとしたアーキテクチャーを持つストレージです。結局のところSolidFireをもってしてもNetAppのユーザーに対して、今までと同じ従来型のLUNとボリュームを提供しつづけるにすぎないのです。

3.クラウド・サービス・プロバイダーの満足を得ることが困難

SolidFIreは長年にわたって、クラウドサービスプロバイダーに対して「自社製品を好ましいストレージである」と説明してきました。しかしSolidFireは、VM(仮想マシン)レベルでの機能を持ってはおらず、クラウド業者の要求に十分に応えられているのか疑問です。SolidFireが、最近(クラウドではなく)エンタープライズ市場に進出したことがその潜在的な理由にあるようです。―例としてQoSがそうです。SolidFireは、顧客がLUNやボリュームレベルでのQoSを設定できるようになると述べています。ところがそれでは、LUNまたはボリュームの中で稼働する仮想マシンは、全て同じポリシーが適用されてしまいます。それぞれのVMはまったく異なる動きをしていることを忘れているかのようです。

この代わりとなるアプローチ手法をお望みですか?
根本的な原因をとことん突き止め、解決することでしょうか?皆さんがオールフラッシュストレージを検討される際には、それがVMに完全に対応し、真のビジネス発展を実現するようなものであるかを確かめてください。オールフラッシュ ストレージにおいても、VMに最適化されたアーキテクチャーを持っていることが最善だと私は信じています。