仮想化にとってVSANが意味するものとは

ここ数年間、VMwareはVSANやvFlash、vVolといったイニシアチブを含めて、仮想化環境におけるストレージ配置の改善に大きく貢献してきました。これは、物理的なデータセンターが文字通り錆びるように設計された10年以上前の旧来のストレージアーキテキチャを排除し、仮想化の普及に従って加速し続けている長期的な傾向と言えます。

VSANが仮想化の世界で大きなトピックになって以来、そして、Software-Defined Storage(ストレージをソフトウェアで定義する)という概念が日に日に牽引力を持つようになってきている中で、私は、これからのVSANの見通しと、VSANがSoftware-Defined Storageと仮想化の応用における役割の双方にどのように関係するかを伝えたいと思っていました。

VSANとは何でしょうか?そして、Software-Defined Storageとどのように関係しているのでしょうか?

VMware Virtual SAN、いわゆるVSANとは、柔軟性の高い共有ストレージのプールを構築するために、サーバ上で直接接続されたストレージリソース、クラスターサーバのディスク、そしてフラッシュを用いたSoftware-Defined Storageのことです。

ストレージ業界におけるSoftware-Defined Storageの定義は、いくつかありますが、VSANの文脈の中では、ソフトウェアに埋め込まれたストレージを意味します。また、Software-Defined Storageには、ソフトウェアによって設計され、管理されるストレージ、という意味も含まれています。これについては後ほど詳しく説明します。

Software-Defined Storageを強固にするものとは?

ベンダーが供給するハードウェアを用いたストレージのサブシステムとは違い、Software-Defined Storageは、幅広いサードパーティのハードウェアにおいても動作しなければなりません。ストレージ・システムの密度が増すにつれ、様々な環境下で適切に、そして確実に動くように慎重な設計とテストが要求されます。

ずっと昔に起きたある出来事の話をしましょう。あるフィールドエンジニアが新しい型のディスクドライブを使っていた時に、そのお客様は、一定のワークロードを処理する時の想定値よりもディスクに多くの遅延が発生していることを検知しました。しかし、フィールドエンジニアは自信を持って言ったのです。もしあなたがドライブの間に名刺を挟んでいたら、問題は解決していた!と。隣接するディスクの振動がお互い干渉し、シーク動作に影響を与えあっていたことがわかったのです。ほとんどの場合、名刺は問題を回避するために振動を減衰する効果がありました。

サポートが必要な幅広いサードパーティのハードウェアに加えて、Software-Defined Storageは、高速に先書きログを行うためのNVRAMや高速なHAフェイルオーバのための高性能なインターコネクトといった特別なハードウェアである「アクセラレータ」の存在を想定することができません。結果として、Software-Defined Storageの製品は、パッケージ化されたストレージサブシステムと比較すると、より控えめなレベルでのパフォーマンスと確実性を提供する位置づけになるでしょう。

Software-Defined Storageを支援する技術

コンピュータ業界において唯一変わらないものは、絶えず技術が急速に向上しているということです。かつてハードウェアでのみ可能だったことは、今やソフトウェアでも可能かもしれません。

例えば、不揮発性メモリ技術における最近の発展は、一般的な使用におけるサーバにおいて、いくつかのNVRAMを標準的な要素にさせるかもしれません。40GigEといったより高性能なインターコネクトも実用的になり始めています。そしてついに、SSDはHDDよりも安定し、信頼できるものであることを証明することができました。確かに、それらは振動に対してはるかに耐性があります。

しかし今日、あるベンダーのSSDは、他のものとは全く異なった動きをしています。そして、私達は必要とされる均一性からかなり離れたところにいます。まだ技術は向上しておりSoftware-Defined Storageはパッケージ化されたサブシステムと同様の品質を永遠に達成できないかもしれませんが、それらは将来より大きな役割を担うことができるでしょう。

正しい業務に正しいストレージを

先ほど述べた通り、Software-Defined Storageには2つの大きな意味があります。1つ目は、ソフトウェアに組み込まれたストレージであるということ。これは小さいプロジェクトに最適なものです。2つ目の定義は、ソフトウェアによって管理できるストレージであるということ。つまり、機能性と自動化において非常に高いレベルの処理を行えることを意味します。2つ目の定義は、Software-Defined Networkingと定義が似ています。あなた自身まだハードウェアは持っていますが、ソフトウェアでネットワークを構成し、管理することができるからです。

Software-Defined Storageの1つ目の機能は、それほど高性能な管理が必要なくても、小さくてコンパクトな配置に最適なことを意味します。例えば、もし小規模のWebサーバとバックオフィスアプリケーションのために30VMを配置したい場合、あなたは3つのESXサーバとVSANで実現することができます。わずかなVMだけを必要とする小規模なブランチオフィスのために、コンパクトな何かが必要であり、HAやパフォーマンス、または多くの管理機能は必要とされないのです。

Software-Defined Storageの2つ目の機能は、ソフトウェアによって自動的に管理されるように設計されたストレージであれば、100VM以上が必要な大規模プロジェクトにも有効だということです。これはより良いパフォーマンスと拡張性を提供し、レプリケーション、スナップショット、マルチノード管理のような高機能によって、ストレージ管理を自動化することができます。

vVolやVMware、VSANのような素晴らしい機能をもたらすことは、仮想化を理解・認識するストレージの必要性を再認識させてくれるかのようです。より偉大な仮想化への挑戦を支援したいと思っているストレージのベンダーは、仮想化環境に特化したストレージを設計する傾向に関心を払う必要があります。