現実世界の参照アーキテクチャはどれほど現実的か(第二部)

本記事は現実世界における参照アーキテクチャについて解説する2回シリーズの第一部です。

第一部ではITインフラを導入する際に、参照アーキテクチャを活用するというIT業界のトレンドについてご紹介しました。この第二部では、異なるワークロードにおけるサイジング考え方と、アプリケーションを仮想化するための参照アーキテクチャにおけるストレージ特性について解説したいと思います。

公開された参照アーキテクチャの大きな落とし穴の1つとして、実環境のワークロードにおけるサイジング情報の不足があげられます。これは、理想的なテストを過度に頼り過ぎ、これらの参照アーキテクチャが特定の利用用途やテストにだけ焦点を合わせているという事実によるものです。

例えば、仮想デスクトップ環境(VDI)向けの参照アーキテクチャは、ユーザのデスクトップが合理的かつ許容可能な時間内で起動できなければなりません。再起動、パッチ適用、デスクトップの再構成などのアクティビティが、ユーザの操作感に悪影響を与えるようなこともあってはなりません。不幸なことに、このようなシナリオは、ほとんどの参照アーキテクチャの場合、しばしばテストされず、考慮すらされていません。これらの参照アーキテクチャの見落としや基礎的情報の欠落を補うために、ベンダーは多くの場合オーバープロビジョニング構成のストレージを推奨します。それは結果として効率が低下することを意味します。

次の話題として、仮想化環境のための参照アーキテクチャにおいて求めるべきストレージの特性に移りましょう。注目頂きたい1つ目の領域は、パフォーマンスです。参照アーキテクチャの選定にあたっては、とくに仮想化環境において個別のワークロードを処理可能なパフォーマンス要件を満たす必要があります。VDIの例について考えると、個々のユーザがパフォーマンスを多く消費するような使い方をしても、レスポンスについて心配する必要がないことが望まれます。単純にストレージを参照アーキテクチャの中で検討しても、複雑で無駄の多いオーバープロビジョニングを行うことなく、VM単位に必要なパフォーマンスを実現する能力がなければ意味がありません。この点は、参照アーキテクチャの上に複数の仮想化されたワークロードやVMを対象とする際に、本質的に重要なポイントとなります。

仮想化に焦点を合わせた参照アーキテクチャに求めるべきその他のストレージの特性は、仮想化に焦点を合わせたデータ管理が可能で、インフラストラクチャに対する稼働状況の分析手段をもつことです。ストレージ業界では、管理に関して仮想化のトレンドに歩調を合わせることができずにいました。ほとんどすべての公開された参照アーキテクチャにおけるストレージは、いまだ、LUNとボリュームという従来型の管理モデルを採用しています。これは、仮想CPU(vCPU)や仮想LAN(VLAN)を備えた仮想化環境におけるサーバやネットワークの管理方法とは大きく異なります。結果として、LUNを仮想マシン(VM)にマッピングするスプレッドシートの維持や仮想スタックの外側のゲストに接続されたボリュームの管理などの余計な管理の手間が発生します。

運用上の管理オーバーヘッドが懸念点であれば、仮想化に特化し、VMを理解できるストレージをぜひご検討下さい。このようなストレージは、(LUNやボリュームといった)ストレージの構成・設定を都度行うことなくVMのプロビジョニングが完了し、データ保護やクローニングといったことがLUN単位ではなくVM単位で行えます。

この第二部のブログでご注目頂きたいもう1つのストレージ特性は、インサイト(状況分析能力)の概念です。仮想化の成功には予測可能であることが不可欠です。予測可能なパフォーマンスの概念や現実世界のサイジングとの関係、VMコントロールについてはすでにご紹介しました。これは、プロビジョニング(設定)、保護、およびクローニングを実行する際に、下位レイヤーのストレージ(LUNまたはボリューム)の代わりにVMおよび仮想ディスク(vDisk)を扱うことで管理タスクを単純化し、複雑さを排除します。VMの性能に関するエンド・ツー・エンドの動作イメージを持つためには、これらの2つの概念に基づいて、ストレージ/参照アーキテクチャを活用することが求められます。管理者は、パフォーマンス問題におけるトラブルシューティング作業を大いに改善でき、ボトルネックの特定は時間単位、日単位ではなく、分単位で完了します。

つまり、サーバ仮想化およびデスクトップ仮想化向け参照アーキテクチャにおけるストレージは、仮想化のために設計されている必要があります。それは仮想化環境におけるパフォーマンス、効率、管理、および状況分析能力のニーズを実現できるということを意味します。

Tintri VMstoreは、100%の仮想化のために必要なストレージインテリジェンスを備え、仮想化環境に特化した、参照アーキテクチャのための理想的なストレージ基盤です。

Tintriは、多数のVDIに焦点を合わせたガイドとVDIのためのESG検証済みの参照アーキテクチャを公開しています。このリファレンスアーキテクチャは、VMware vSphere 5.1とTintri VMstore上で稼働するVMware Horizon View 5.2を活用して、1,000件の仮想デスクトップを実現するものです。500ユーザおよび1,000ユーザを対象にしたリンククローン、完全コピーの検証結果を含む、VMware Horizon ViewとTintri VMstoreを組み合わせたリファレンスアーキテクチャの詳細をこちらからご覧いただくことができます。

Tintriは、皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしています。リファレンスアーキテクチャにおけるストレージの機能性の最適な組み合わせについて、あなたのお考えをお聞かせください。Tintri VMstoreソリューションに関するデモをご希望の方はその旨お伝えください。