AIによる電力消費増加にどう対応すべきか?

フロントエンドからバックエンドのプロセスに至るまでAIの利用が進み、ChatGPTやDeepSeekのような大規模言語モデル(LLM)、エージェントAI、ロボティクスなど、利用分野も広がっています。このAIの進化と歩調を合わせるように、堅牢でスケーラブルかつ効率的なデータセンターインフラの需要は急激に高まっています。それに伴って、消費電力の増加は、コストの観点からももちろん、環境への配慮という観点からも重要な課題となっています。
AIによる電力消費の大幅な拡大
AIのためのビッグデータ分析やディープラーニングのワークロードには、膨大な処理能力とストレージ容量が必要です。これらを実行するデータセンターは、大規模なラック群を稼働させ、サーバーやストレージアレイの運用、さらには冷却のために膨大な電力を消費します。現在、データセンターは世界の電力消費量の約2%を占めており、AIの普及に伴い2026年までに少なくとも2倍に達すると予測されています*1。世界のデータセンターの3分の1が存在する米国では、エネルギー消費が同国の総電力使用量の6%にまで増加すると見込まれています。さらにアイルランドでは、新たなデータセンターの建設により、データセンターの総電力消費が2022年の17%から2026年には32%に達すると予測されています。*1
世界の発電量の約30%は再生可能エネルギーによるものですが、その成長はデータセンターの需要増加には追いつかず、不足分を補うために化石燃料や原子力由来の電力が必要となります。サステナビリティを掲げる企業にとって、これはAIの性能要件とカーボン削減目標の両立という大きな課題を意味します。
このような状況において、従来型のストレージソリューションはAIのカーボンフットプリントをさらに悪化させています。多くのシステムはリソースの過剰割り当てを必要とし、その結果、利用効率の低下、電力需要の増大、冷却負荷の増加を招きます。さらにAIのタスクは膨大なデータを伴い、その多くは繰り返し要素を含んでいるため、過剰で不要なストレージ増加につながる可能性があります。データストレージを最適化しない組織は、インフラコストの増大だけでなく、環境や電力網へのさらなる負担をもたらしかねません。
よりスマートなインフラを導入すべき
AIの環境負荷に対応するためには、計算基盤とストレージ基盤のあり方を見直す必要があります。グリーンAI導入とは、エネルギー消費を最小化し、無駄を減らし、効率を最大化するソリューションを採用することです。その実現には、以下の取り組みが有効です。
- データ削減技術(重複排除や圧縮)による不要なストレージの削減
- ハードウェアの小型化:物理スペースを抑え、消費電力を低減
- 自動化とAI主導のリソース管理:ストレージやコンピューティング能力を最適化
AIの潮流が進むなか、企業はデータセンターにおけるAI採用の環境影響を積極的に軽減する必要があります。イノベーションを維持しながら、カーボンフットプリントにも配慮するために、より環境にやさしいストレージやコンピューティング戦略が求められます。
Tintri VMstoreによるサステナビリティ
Tintri VMstore は、仮想化・コンテナ・データベースなどあらゆるワークロードとインフラに最適化されており、高度なAI機能と効率的な小型設計を組み合わせて消費電力を削減します。
コンパクト設計によるスペース・冷却効率
従来のストレージがラック全体を占有するのに対し、Tintri VMstore は高密度2RUフォームファクタに大容量を収めます。導入事例では、従来のラックを数台のVMstoreに置き換え、データセンタースペースを最大90%削減したケースも報告されています。スペース削減は冷却に必要な電力やインフラリソースの低減に直結し、カーボンフットプリントを抑えます。
自律運用によるリソース最適化
従来の手動ストレージ管理は、過剰プロビジョニングや遊休リソースを生み、エネルギー浪費につながります。Tintri VMstore はリアルタイム分析と予測モデリングによる自律運用で、リソースを動的に最適化。AIワークロードが必要とする場所に正確にリソースを配分し、無駄を排除します。
過剰プロビジョニング回避する自動スケールアウト
AI導入の拡大には容易なスケールアウトが不可欠です。Tintri VMstore は19TBから40PBまで、ノンストップでのスケーラブル拡張を可能にします。ユーザーは必要な容量のみを段階的に追加できるため、従来型のような電力浪費型の大規模オーバープロビジョニングを回避できます。特許取得済みの「ドライブ単位」スケーリングにより、必要時に必要分だけ拡張でき、コスト効率と省電力性を両立します。
ハイブリッドクラウド統合
Tintri VMstore のクラウド連携(レプリケーションやバックアップ)により、非クリティカルなAIワークロードを電力効率の高いクラウド環境に移行可能です。これによりオンプレミスのハードウェア要件を減らし、さらに電力・冷却コストを抑制します。
Tintri VMstore へ移行することで、最大75%最大電力消費を削減した顧客事例もあります。消費電力削減の観点からも従来型ではない新たなストレージインフラも検討すべきです。
*1: International Energy Agency. “Electricity 2024: Analysis and forecast to 2026”. January 2024