国立大学法人 東北大学 様

東北大学 職員約1,600人が使う仮想デスクトップ環境に ETERNUS TR seriesを導入

Citrix仮想マシンの稼働状況に応じて性能チューニングを行う自動QoS(Quality of Service)が効果を発揮

仮想デスクトップの安定稼働のためにストレージの性能や機能を重視

1907年、日本で3番目の帝国大学として創設された東北大学。10の学部、16の大学院、3の専門職大学院、6の附置研究所を持つ世界最高水準の研究・教育機関となった現在も「研究第一」、「門戸開放」、「実学尊重」の建学の理念は脈々と受け継がれている。同大学は建学の理念のもと研究・教育の国際化の推進や東北復興に向けた先導的支援にも積極的に取り組んでいる。

国立大学法人東北大学
情報部情報推進課
事務情報係
係長
藤本 一之 氏

時代が大きく変化する中、1世紀以上にわたる知を継承し、さらに未来へ向けて新たな知を創造していくためには、大学運営の基盤強化が欠かせない。「従来、本学の事務部門は執務用と業務用の2台の端末を利用していました。業務用端末は共有だったため利用時には端末のある場所への移動や他の職員が使っていた場合の待ち時間など多くの無駄が生じていました。また、各部局が独自に購入したPCもあるなどPCの台数が増え続けていました。既存端末の更新を機に、業務の効率化、端末台数の最適化、セキュリティ強化を目的に仮想デスクトップの導入検討を開始しました」と情報部情報推進課 事務情報係 係長 藤本一之氏は話す。
同大学の事務職員約1,600人が利用する仮想デスクトップの導入で重要なポイントとなったのがストレージのI/O性能だった。始業時の仮想デスクトップの一斉起動や、特定の仮想デスクトップのI/O急増による性能低下が懸念されたからだ。同大学はストレージについて様々な観点から検討を重ね、仕様に以下の要件を盛り込んだ。

  • 仮想デスクトップ1台あたり30IOPS
  • 実行容量40TB以上(但し、インライン重複排除や圧縮機能を利用する場合はサイジング指針を示すことで30TB以上でも可能)
  • サーバー、ストレージ、ネットワークなどからボトルネックを特定できること
  • 職員1人に1つの仮想デスクトップ環境の提供

「今回、ストレージの要件はかなりハードルの高いものだったと思います。また安定したパフォーマンスを維持するために、仮想化基盤としてサーバの負荷状況に応じてリソースを割り当てられることも重視しました。本学が提示した様々な要件に価格を加えて総合的に評価し、富士通の仮想化環境専用ストレージETERNUS TR seriesとPCサーバーPRIMERGYをベースとする事務系の全学仮想化基盤の採用を決定しました」(藤本氏)。

実機を使った体験型の説明会用に200台の仮想デスクトップを迅速に作成

事務系の全学仮想化基盤は、仮想デスクトップ基盤と業務システム仮想化基盤が共存する構成となっており、共有ストレージとしてETERNUS TR seriesを利用する。「今回、ICTインフラの最適化を目指し、学内に散在していた人事給与、財務会計、勤怠管理など業務システムの仮想化統合も一気に進めました」(藤本氏)。
2016年1月に採用を決定し構築を開始。「富士通とTintri by DDNの一体となったサポートにより2016年7月から仮想デスクトップを順次展開し、秋学期前の同年8月の本稼働を迎えました。ユーザーに慣

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情報部情報推進課
事務情報係
尾形 浩平 氏

れてもらうために実機を使った体験型の説明会を開催した際、富士通に仮想デスクトップ200台を迅速に準備していただきました。ETERNUS TR seriesは1台の仮想デスクトップを作成するだけなら約30秒でできると聞いてとても驚きました」と情報部情報推進課 事務情報係 尾形浩平氏は振り返る。

フラッシュヒット率99%、圧縮機能により約30%のデータを削減

ETERNUS TR seriesの導入効果について情報部情報推進課 情報セキュリティ係 主任小野﨑伸久氏はこう話す。

国立大学法人東北大学
情報部情報推進課
情報セキュリティ係
主任
小野﨑 伸久 氏

「始業時などのピーク時もユーザーから遅いといった声はありません。ETERNUS TR seriesはSSDとHDDのハイブリッド構成でコストを抑えながら高いパフォーマンスを実現している点も魅力です。インライン重複排除によりフラッシュヒット率99%を実現し、レイテンシーは1ミリ秒以下です。また圧縮機能により約30%のデータ削減を図っています」。
運用面では、ブラウザーベースの管理画面で仮想マシンごとにストレージと合わせてサーバーやネットワークの性能を把握できるメリットは大きいと尾形氏は話す。「運用の効率化とともに性能低下時に迅速に要因を特定できます。どこでどの程度の遅延が発生しているかが一目瞭然のため、問い合わせにも速やかに対応が可能です。いままでI/Oの負荷による性能低下は一度も起きていません。仮想マシンの稼働状況に応じて性能チューニングを行う自動QoSが効いていると認識しています」。
性能の可視化について投資の最適化の観点から藤本氏は付け加える。「従来、業務システムの増強を図りたいというニーズに根拠もなく応えていました。いまは管理画面を見ることで数字的な裏付けをもとに判断が行えるため無駄な投資を抑えることができます」。
導入の成果と今後の展望について藤本氏は次のように話す。「仮想デスクトップ導入による集中管理の実現でセキュリティの強化が図れました。また設定変更のたびに情報推進課のスタッフが端末のある場所に出向いて対応するといった手間も不要となりました。さらに人事異動に伴うデータ移行作業の手間から事務職員を解放できました。業務システムは事務職員だけでなく技術職員も含めて約3,000人が利用していますが、それでもストレージのパフォーマンスに一切問題は発生していません。今後は業務システムの統合をさらに進めるとともに、システム連携も推進していきたいと考えています」。

※ 富士通の「ETERNUS TR series」は米国Tintri by DDNのOEM製品です。