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従来型ストレージの“限界”を超えノーベル賞級の最先端研究を支えるTintri - 自然科学研究機構

従来型ストレージの“限界”を超えノーベル賞級の最先端研究を支えるTintri

共通仮想化基盤のストレージにTintriを採用し、vCenterで一元管理&QoSの“自動化”を実現

最先端研究の推進で仮想マシンが増大し、容量とパフォーマンスがネックに

自然科学研究機構 岡崎情報ネットワーク管理室 技術主任 内藤 茂樹 氏
自然科学研究機構
岡崎情報ネットワーク管理室
技術主任 内藤 茂樹 氏

天文学、物質科学、エネルギー科学、生命科学、その他の自然科学に関する最先端の研究を5つの研究機関で推進している大学共同利用機関法人 自然科学研究機構(NINS)。同機構のなかでも、愛知県岡崎市に立地する基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所の岡崎3機関は、大隅良典氏のノーベル医学生理学賞受賞の研究成果を支えるなど、国内外から高く評価されている研究機関だ。

岡崎3機関では、ネットワークを研究所間で共有し、仮想化基盤を共同で利用する仕組みを構築している。その仮想化基盤のストレージとして2017年4月に採用されたのがTintriだ。導入の背景には、既存ストレージの"限界”があった。岡崎3機関のインフラを管理している岡崎情報ネットワーク管理室の技術主任である内藤茂樹氏はこう話す。

「岡崎3機関では10年ほど前に仮想化環境を導入しました。そして2011年に仮想化基盤をリプレースしたのですが、仮想マシンは増加し続け、管理負荷が大幅に高まっていました。また研究に必要になる仮想マシンをすばやく研究者に提供することも視野に入れると、将来的に今の基盤では容量やパフォーマンスが不足することが懸念されました」(内藤氏)

FCストレージの課題をVMwareと親和性が高い仮想化専用ストレージで解決

課題の原因は、既存ストレージのアーキテクチャにこそあった。既存ストレージは、SAN/NASを統合して管理できるFC接続のストレージで、容量の増加に伴って、パフォーマンスやキャパシティの管理が難しくなる傾向があった。ストレージ容量は40TBで余裕があったものの、仮想化基盤上では、Webサーバーやメールサーバー、ファイルサーバー、ログサーバーなど約50台の仮想マシンが稼働し、負荷が高まっていた。なかでも、ログサーバーは、1日あたり100GB近くの書き込みが発生しており、今後の仮想マシンの増加でさらにI/O要求が高まることが予想されていた。

基盤の運用を担当している岡崎情報ネットワーク管理室の技術職員 澤昌孝氏は、当時の状況をこう話す。

「既存ストレージはボリュームやLUNで管理する必要がありました。将来的に仮想マシンが増えると、ボリュームやLUNを設計し直さなければなりません。少人数でインフラからセキュリティまですべてを管理しているので、管理工数が上がり続けることは避けたいと思っていました」(澤氏)
そういった既存ストレージの状況を考慮してストレージの選定のために要求事項を作成し、入札説明書で指定した。内容は「VMware環境との親和性が高いこと」、「SASやニアラインSAS、フラッシュとの混在でもパフォーマンス劣化が発生しにくいこと」、「ログサーバーのような負荷の高い処理に耐えられるI/O性能であること」、「可用性が高く、拡張しやすいこと」といったものであった。

競争入札の結果、ネットワンシステムズが、グループ会社であるネットワンパートナーズの協力のもと、基盤構築と製品導入のパートナーに選ばれた。両社は、取り扱っているさまざまなストレージ製品のなかから、要求事項に見合う製品を比較検討した。

特に注目したのは、仮想マシンが増えてもI/O性能が落ちないことと、ストレージの管理負荷を大きく下げられることだ。ネットワンシステムズとネットワンパートナーズは、Tintriのパートナーとしてさまざまな顧客環境を見てきた実績がある。そんな経験から、自然科学研究機構の要求にこたえられる製品は、VMwareと高い親和性を持ち、自動QoS機能を備えるTintriがふさわしいと判断するに至ったという。そして、選定されたのが、「Tintri VMstore T850」であった。

VMware vCenterでストレージを一元管理、自動QoSでストレージ管理を“自動化”

自然科学研究機構 岡崎情報ネットワーク管理室 技術職員 澤 昌孝 氏
自然科学研究機構
岡崎情報ネットワーク管理室
技術職員 澤 昌孝 氏

2016年12月から導入を開始し、約4ヵ月の構築・検証期間を経て、2017年4月から本格的に運用がスタート。運用から数ヶ月で仮想マシン台数は約70台に増加したが、障害はもちろん、パフォーマンス劣化などのトラブルも一切発生していない。澤氏は、Tintriの魅力である「VMwareとの親和性の高さ」について、こう説明する。

「VMware vCenter上から一元的に管理できることが大きなメリットです。仮想サーバーにCPUやメモリを割り当てるのと同じ感覚で、ストレージの容量やポリシーを管理することができます。ストレージを管理するという意識を持たずに管理できる。実際にやってみて、これは非常に便利だと実感しました」(澤氏)

従来は仮想化の管理をVMware vCenter、ストレージの管理には専用のコンソールを開いていたが、いまではVMware vCenterだけで済むようになり、管理の手間が大幅に削減できたという。

また、澤氏は「自動QoS」についても高く評価し、こう話す。

「万が一、ログサーバーで負荷が掛かり他のメールサーバーなどに影響が出た場合は、QoSを手動で設定して対処しようと思っていました。しかし、そもそも仮想マシンをTintriが自動的に管理してQoSを設定してくれるので、その必要はありませんでした。今では、ストレージの運用管理ほとんどすべてをTintri任せにしていて、Tintriの管理画面を確認する必要がないという状況です」(澤氏)

また、内藤氏は、「パフォーマンスの高さや拡張性の高さ」にも目を見張る。
「岡崎3機関の拠点は10ギガビットの高速回線でネットワークを構成しています。ネットワークが高速化するとボトルネックになりやすいのがストレージI/Oです。かつてはレスポンスが遅いときなどに『ストレージが遅いのでは』と指摘されていたこともあったのですが、Tintri導入後はそうした声はいっさい聞かれなくなりました」(内藤氏)

さらなる仮想サーバー統合を推進、クラウド連携機能にも期待

他社製品との連携性の高さもTintriの魅力だ。仮想化基盤のバックアップには、Veeam Softwareのソリューションを採用している。Veeam Softwareは、Tintriのテクノロジーパートナーの1社で、技術的な連携を考慮した製品開発に取り組んでいる。

「ハイパーバイザーだけでなく、バックアップやレプリケーションといった機能のレベルでも実績ある製品と連携できるので、両製品の組み合わせは安心して利用することができます」(内藤氏)ネットワンシステムズとネットワンパートナーズからの支援も大きな力になっている。Tintriを使う上でのノウハウの提供だけでなく、バックアップ運用や他製品との連携なども含めて、さまざまな支援をしてもらっている。澤氏は「技術に詳しいエンジニアが客観的な目線でサポートしてくれるので非常に助かっています」と高く評価する。

今後の展開として検討しているのは、仮想マシンの集約率のさらなる向上だ。「容量にまだ余裕があるため、今まで移行できなかったサーバーも集約していこうと考えています。物理環境でなければ難しい計算などの処理以外は、基本的に仮想化基盤に集約・統合するつもりです。さまざまな用途の仮想マシンを混在させてもTintriがうまくQoSを管理してくれると期待しています」(澤氏)

また、新たに追加されるパブリッククラウドとの連携機能「Tintriクラウドコネクター」などにも注目している。

「ガバナンスやセキュリティを確保しながら、外部クラウドを活用していく動きは今後進んでいくと考えています。研究者の間でも、データを必要なときにパブリッククラウドに置いたり、バブリッククラウドからオンプレミスに戻したりするニーズが高まるはずです。今後はそうしたニーズに迅速に対応していきたいと思います」(内藤氏)

従来型ストレージの”限界”を乗り越え、増加する仮想マシンをうまくさばきながら、高速かつ安定稼働を続けているTintri。ノーベル賞級の研究成果を生み出すITインフラの基盤の1つとして、今後も、自然科学研究機構の取り組みを支えていく。