三菱地所コミュニティ 様
ミッションクリテイカルなデータベースの仮想化もTintriで簡単に実現
33万戸超えるマンション管理の会計処理と契約保守業務を自動処理
三菱地所コミュニティ株式会社(以下、三菱地所コミュニティ)は分譲マンションを中心に、賃貸マンション、オフィス、指定管理者制度適用の公共施設など多種多様な建物の管理業務を行っている企業だ。併せて、これらの建物・設備のリニューアル工事、専有部分のリフォーム工事、損害保険や生活関連商品の販売など、暮らしに関わる様々なサービスを総合的に提供している。2016年4月には三菱地所丸紅住宅サービス、17年4月には子会社の北海道ベニーエステテートを合併、泉パークタウンサービスのマンション管理事業も継承。これにより、管理受託戸数33万戸を超える三菱地所グループ唯一のマンション管理会社となった。
三菱地所コミュニティのマンション管理業務を支えるITは、高い信頼性が求められる。特に重要なのが2019年現在、33万戸を超えるマンション管理の全ての会計処理を行い、200人以上の社員が使う組合会計システムである。「組合会計システムは管理組合との契約にもとづいた、管理人の派遣や修繕積立金や管理費などの会計処理だけでなく、契約している保守作業などの管理しています。システマティックに、管理組合や居住者と業者をつないで、確実に保守業務を行えるようにしています」と三菱地所コミュニティ株式会社情報システム部システムサポートグループチーフ木村温氏は語る。
VMwareとTintriで仮想化、移行も簡単、運用負荷も大幅軽減、災害対策も強化
三菱地所コミュニティの仮想化の取り組みは、2016に合併した三菱地所丸紅住宅サービスから始まる。三菱地所丸紅住宅サービスは、以前、東京のデータセンターで物理サーバーとSAN接続されたストレージを搭載したラック9本による本番環境と、名古屋のデータセンターでラック3本によるDR環境を構築、システムを運用してきたが、仮想化が安定期に入った2014年、統合によるコスト削減のためシステムを物理環境から仮想環境へと移行・統合を開始した。
仮想化・統合にあたっては、「VMware ESXi」と仮想環境専用ストレージ「Tintri」の導入を決めた。「Tintriに決めたのはSIerの担当営業から『新しいストレージだが、仮想環境に最適』と強く勧められたからです。営業の人は私たちの会社の業務内容をよく理解していて、Tintriであれば運用に手間がかからず、私たちに一番よいということで推薦をしてくれました」(木村氏)。
仮想環境は8台のVMware ESXiと2台のTintri T820で本番環境を構築、沖縄に同じ構成のDRサイトを設け、Tintriのレプリケーション機能でバックアップをとりながら、金融機関並みの安定性と高い信頼性を持つ形でシステムを運用している(図)。
物理環境から仮想環境への移行(P2V)は非常にスムーズに行うことができた。通常、仮想環境への移行はストレージの設計に非常に手間がかかる。しかし、TintriはLUNやボリュームの設計が要らず、1ボリュームで構成されるTintriデータストアヘP2Vで移していけば、移行された仮想サーバーは自動QoSで安定して稼働するため、運用側の負担は極めて少ない。「特にデータベースの移行には時間がかかりますし、不具合も発生します。ところが、今回週末にデータベースに最終同期をかけ仮想への移行が完了。一部のアプリケーション・サーバーに至っては昼休みの間に物理サーバーから仮想サーバーヘの移行を実施し、失敗もなく完璧に移行することができました」(木村氏)。
また、東京の本番環境から沖縄のDRサイトまでのレプリケーションは、東京から名古屋まで転送していた従来システムよりも短時間で行えるようになった。これはTintriのレプリケーション機能(Replicate VM)によって仮想サーバー単位にレプリケーションポリシーを設定できるからだ。更には、転送データは圧縮と重複排除されるので、LUNやボリューム単位でレプリケーションするストレージと違って大幅にRPOを短縮することができた。
仮想サーバーごとにQoSで自動管理する仕組みで、データベースも含めて仮想環境の性能と拡張性を確保
2016年三菱地所コミュニティと三菱地所丸紅住宅サービスが合併し、システムの統合を開始した。このシステム統合に際しても、Tintriは大きな役割を果たした。統合にあたって必要な検証のため、データベースサーバーやアプケーションサーバーなどの検証環境を構築した。それがストレージの領域を大きく圧迫していたが、通常のシステムには全く影響がなかった。
「Tintriの仮想サーバーことにQoSで性能を保証する仕組みが大変効果的でした。激しく動作している仮想サーバーは多少のレイテンシーが出ていましたが、他の仮想サーバーには影響が及びませんでした。更には、影響があった仮想サーバーも、Tintriであれば仮想サーバーことにホスト、ネットワーク、ストレージのレイテンシーを表示してくれるので、問題箇所を瞬時に特定することができました。その結果、旧三菱地所コミュティ側のユーザーをすべて仮想環境に受け入れましたが、ストレージを増設する必要もなく、費用を抑制することができました」(木村氏)。
また従来、物理環境で運用されていたデータベースサーバーは大規模・高性能だったが、実際に運用してみると、仮想環境のデータベースサーバーの方がはるかに速いことが分かった。「組合会計システムでは月次、年次で集計するのですが、その際データをすべて参照するので、処理速度の違いがはっきりでます。担当社員からも『処理が速くなった』と言われています。導入段階ではデータベースサーバーの性能を担保するのは難しいのではと考えていましたが、Tintriを導入して本当によかったと思います」(木村氏)。
Tintriは5年間ハードウェア障害もなく、安定運用自動化・高速化で、サービスレベルの向上を目指す
運用側にとっては管理工数を大幅に減らすことができたことも大きな成果だ。今までシステムで大規模な障害が起きたことはないが、仮想サーバーをリストアする必要があった時には、バックアップだけでなく、リストアも仮想サーバー単位で出来るので、リストアしたいVMを右クリックして実行すれば簡単に復旧され、とても手軽だ。さらに稼働開始から5年余りになるが、Tintriのハードウェア障害も発生したことがない。「ディスクの障害ランプすら点灯しないのには本当に驚いていますし、無停止でパーツの交換も簡単にできます。物理環境の時はパーツの交換などオンサイト・メンテナンスは業務が終了した夜間に行っていましたが、Tintriは昼間の業務時間中にメンテナンスもできるので、インフラ担当の夜間の残業もなくなり、本当に楽になりました」(木村氏)。
三菱地所コミュニティでは、システム更新にあたって、前回の導入ではできなかった仮想環境の自動化と高速化を進めている。そこでは東京の本番環境がダウンしても、沖縄のDRサイトが自動的に立ち上がる仕組みを構築する。また働き方改革で在宅勤務者がVDIを使うニーズが出てきているので、部署ごとにできるようにして、管理工数を減らして行く。さらにマンション管理人も含めて社員が使うノートPCは5,000台ほどになるが、それもVDIを活用して、キッティングなどの作業工数を削減していく予定だ。「Tintriは本当に使いやすく、手間もかからずに運用できるので、仮想環境には最高のストレージです。これからも安心して使い続けられるようにサポートして欲しいと思います」と木村氏は期待を語る。