アイテック阪急阪神株式会社 様

ミッションクリティカルなシステムをLAMP で実現

関西の名門球団、阪神タイガースと同じ企業グループで都市交通関連システム事業や医療システム事業、インターネット及びクラウド事業を行っているアイテック阪急阪神株式会社(以下、アイテック)は、これまでのストレージシステムを刷新し、Tintriの仮想マシン専用ストレージを本番環境に採用。従来のストレージからは容量効率と運用効率が飛躍的に上がったという。
アイテックは事業会社のバックエンドを支えるクラウド事業において早くから仮想化、そしてプラットフォームとしてLAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)環境をメインにシステム構築を行ってきた。企業システムにおいて早い時期からオープンソースソフトウェアによるイノベーションを選択した理由のひとつは、コストであったというが、物理サーバーから仮想化とクラウドによる柔軟なコンピューティングを目指すのであれば、オープンソースはむしろ積極的に採用するべきであろう。アイテックはオープンソースソフトウェアに関して多くの知見を培ってきたといえる。近年はサーバーホスティングからPaaS までカバーするクラウド事業に重点が移行し、ますます仮想化のニーズは高くなっているという。

仮想化の盲点:ストレージ運用管理が問題点に

アイテック阪急阪神株式会社
マルチメディア事業本部
IPソリューション部
ネットワーク技術課 主事
森本 健一 氏

仮想化基盤は定評のあるVMware をベースに仮想サーバーのマネージドサービスを中心に成長を続けたアイテックだが、仮想サーバーを格納するストレージに関しては従来使っていたストレージシステムをそのまま利用していた。このシステムには特に大きな問題点や障害などもなかったという。仮想サーバーを増強する際に既存システムやその後継機種を採用しない理由は無かったが、Tintriの販売パートナーである丸紅情報システムズからの「仮想化環境専用のストレージがある」という提案でひらめくものがあったと、アイテック マルチメディア事業本部IP ソリューション部ネットワーク技術課主事の森本健一氏は語る。

「システムに不満は無いものの、サーバーの処理が重くなってそれがどういう部分に影響を及ぼしているのか、仮想マシン単位でストレージの使い方を切り分けようと思っても、それまでのストレージではデバイス単位の分析しかできずに時間がかかってしまっていました」と森本氏は語る。つまり、仮想化環境において従来のストレージでは対応できないという課題を抱えていた。

仮想マシン単位で即座に運用が行えるTintriの仮想化専用ストレージ

Tintriの仮想化環境専用ストレージは仮想マシン単位でストレージを管理でき、グラフィカルなコンソールで簡単に運用担当者が問題などを切り分けることができる。すでに運用管理を行っている300 の仮想マシンのうち、ミッションクリティカルなシステムからTintriのストレージに移行が進んでいるという。
同部ネットワーク技術課長の奥裕之氏は、「阪神タイガースの優勝の時などはEC サイトなどに非常に大きなトラフィックが集まります。そういう状況で『この仮想マシンが遅いのは何故?』と聞かれても、今ならTintri のGUI で確認すればすぐに回答できます」と語る。
さらに森本氏は「ミッションクリティカルなシステムだけに、ユーザーから“スナップショットからファイルを復元したい”というリクエストを受けた際、これまでのストレージだと復旧するのに2 ~ 3時間はかかっていました。でもTintri であれば数分で終わるのです。これは直ぐにでもデータを復旧したいお客様にはとても大きな違いです」と話す。
また、ストレージの利用状況について現時点の分析だけではなく未来の利用予測を行うことができるのも大きな利点だ。
「これまでの利用状況からデータの増加や性能の予測を行えるので、いつ頃に容量を増強しなければいけないかなどがわかり、計画的に運用管理を進めることができます」と森本氏。これはTintri Analyticsの機能として標準で提供されている。

驚くほど簡単な設定作業、そして重複排除の結果

アイテック阪急阪神株式会社
マルチメディア事業本部
IPソリューション部
ネットワーク技術課長
奥 裕之 氏

今回のシステム導入に際し、従来のストレージシステム導入の経験から様々なパラメーターの設定が必要だと思っていたが、実際は非常に簡単であったという。奥氏は「Tintri の場合は本当に少ない情報を入れるだけで、あとは自動で設定が終わってしまうのです。実質、設置から稼働するまでに1 時間程度というところでしょうか」と、Tintri の導入が予想以上に簡単だったという経験を語ってくれた。
「私が個人的にもっとも驚いたのはデータ削減の結果ですね。結果についてメーカーが言う約2 倍というのは理論値であって実際は1.2 倍くらいだと思っていました。でもTintri の場合は、メーカーの言う通りのデータ削減が実行されていたのには驚きました」と語る森本氏。データ削減は直接使える容量に影響を与えるため、この違いは非常に大きい。
また、ユーザーがストレージに求めるのは処理速度や容量だけではない。アプリケーションがあらかじめ決められたQoS の通りに動いて、はじめてビジネスを担うことができる。
「TintriのストレージであればIOPS 上限のQoS だけではなく、これより下がらないというIOPS 下限値を設定できるので、お客様の要求に確実に応えることができます」と奥氏は語る。サービスを提供する側にとって顧客が必要とするサービスの品質をきめ細かく提供できるのは差別化に大いに役立つだろう。
今後はミッションクリティカルな仮想サーバーのストレージとしてだけではなく、アイテックが提供する様々なアプリケーションのクラウドストレージとして、Tintri の活躍の場を拡げて行く予定だという。