富士通株式会社 様

構築作業時間が従来比で1/6 に短縮、フラッシュヒット率99.9%でレイテンシー1ミリ秒未満を維持

仮想オンデマンド貸出システムのベースにETERNUS TR series※を導入し実践で評価

富士通株式会社
共通ソフトウェア開発技術本部
ソフトウェア開発技術統括部
ソフトウェア開発クラウドセンター
センター長
川口秀人氏

富士通においてミドルウェアをはじめソフトウェアの開発環境を一手に提供している富士通沼津ソフトウェア開発クラウドセンター。同センターは開発環境の提供に加え、プライベートクラウドの社内実践の場としての役割を担っている。

「当センターは2008年度からソフトウェア開発環境のクラウド化に取り組んでおり、2011年度に仮想オンデマンド貸出システムを本稼働しサービスを開始しました。社内実践は、製品を導入し運用していく過程で抽出した気づきの製品開発へのフィードバックと、利用者・運用者の視点で効果を事例化しお客様にセンター見学を通じてご紹介するという大きく2つの役割があります」とソフトウェア開発クラウドセンター センター長 川口秀人氏は話す。
2015年8月から、同センターは複数ある仮想オンデマンド貸出システムの老朽化したシステムをリプレースすることに伴い、新しい仮想オンデマンド貸出システムのベースに仮想化環境専用ストレージETERNUS TR seriesを導入し社内実践を行っている。

設計不要のため導入が容易、構築作業時間も従来比で1/6に短縮

同センターが運用する仮想オンデマンド貸出システムは仮想化ソフトウェアVMware vSphereで構築した仮想化環境のもと、富士通のダイナミックリソース管理ソフトウェア「ServerView Resource Orchestrator」を活用し、IaaS形式で60種類に及ぶサービスカタログを提供している。

 

2015年4月、同センターは仮想オンデマンド環境のリプレースに合わせETERNUS TR seriesの構築を開始した。「一般的なストレージではディスクドライブの種類やRAID構成などの設計が必要ですが、ETERNUS TR seriesは収容可能な仮想マシンの台数に応じてストレージ容量が最適化されており設計不要のため、導入は非常に容易でした」と同センターの近藤陽介氏は振り返る。
構築作業時間も飛躍的に短縮できたという。「デザインシートの作成がほぼ必要ないことなど、これまで240分を要していた構築作業が1/6に短縮できました。装置の設定作業だけなら10分でした」と同センターの鈴木さおり氏は驚きを隠さない。
新仮想オンデマンド環境の基盤はPCサーバー「PRIMERGY」13台(管理系3台、業務系10台)と「ETERNUS TR850」1台を中核に構成。またETERNUS TR seriesのAutomation ToolkitやAPIを利用して装置の性能情報や仮想マシンの情報を自動収集し、他マシンの情報も含めダッシュボードによる一元管理を実現している。

 

現在、旧システムからの移行も完了し、新システム上で350台の仮想マシンが稼働しており、今後1,000台まで拡大する予定だ。ETERNUS TR seriesは4Uのコンパクトな筐体サイズのため従来の1/4の省スペース化も図れた。

圧縮率1.9倍、フラッシュヒット率99.9%、レイテンシー1ミリ秒未満を維持

富士通株式会社
共通ソフトウェア開発技術本部
ソフトウェア開発技術統括部
ソフトウェア開発クラウドセンター
近藤陽介氏

新仮想オンデマンド環境ではETERNUS TR series導入によりに様々な効果があらわれている。パフォーマンス面について同センター マネージャー 長澤武則氏はこう話す。「ストレージの性能チューニングの自動化によりチューニングレスで常に安定したパフォーマンスを維持しています。また圧縮率1.9倍、フラッシュヒット率99.9%でレイテンシーは平均1ミリ秒未満を保っています」。
仮想オンデマンド環境ではテストや検証を実施するため1日平均50台の仮想マシンの配備や返却が行われており、多いときには200台以上のケースもあるという。日々仮想マシンの台数が大きく変動する中でいかにサービスの向上を図っていくか。「従来、仮想マシンの性能に関する問い合わせに答えるためには多くのステップを要しました。ETERNUS TR seriesは仮想マシン単位でホスト、ネットワーク、ストレージレベルのパフォーマンスの可視化が行えることからボトルネックを迅速に特定できます。また仮想マシン名を切り口にパフォーマンスを確認できるため、利用者情報との紐付けが簡単にでき、すぐに対象マシンの把握が可能です。
さらに仮想マシンの配備時間も従来の10分から5分の1/2に短縮できました」(鈴木氏)。バックアップの運用面の課題も改善できたという。「従来のソフトウェアを使ったバックアップから、ETERNUS TR seriesによる仮想マシン単位でのスナップショットを利用したバックアップに変えたことで、管理サーバーの性能の安定化とともに立ち上がり時間も1時間から15分に短縮できました。また、より柔軟かつ高度なバックアップが容易に行えるタイムトラベルVMリカバリー(SyncVM)の利用も考えています」(近藤氏)。

富士通株式会社
共通ソフトウェア開発技術本部
ソフトウェア開発技術統括部
ソフトウェア開発クラウドセンター
マネージャー
長澤武則氏

今回の実績を踏まえ、ストレージ増設が必要になっている別の仮想オンデマンド貸出システムにETERNUS TR850を導入する予定だ。ETERNUS TR850は、国内(主要6拠点)、海外(主要4拠点)の5,200名の開発者が利用し仮想マシン6,400台(2016年3月20日時点)を運用する同センターを支えていく。
「複数のETERNUS TR850とその上で稼働する仮想マシンの情報を統合管理できるTR Global Centerの利用も検討しています。TR Global Centerは直感的で使いやすいGUI(Graphical User Interface)も魅力です。新しい機能を運用に積極的に取り入れ、実践することが当センターの使命ですから、Tintri by DDNの先進技術の追求、ETERNUS TR seriesのさらなる進化に期待しています」(川口氏)。

※ 富士通の「ETERNUS TR series」は米国Tintri by DDNのOEM製品です。