合同会社DMM.com 様
テックカンパニーを目指すDMM.com
Tintriの価値を再認識
合同会社DMM.com(以下、DMM.com)は、分野を超えて40以上の事業を展開するインターネットカンパニーである。創立から21年を迎え、今や3,196万人(2019年2月期)の会員数を誇る同社は、動画配信やオンラインゲームといった最先端のエンターテイメントを提供するだけでなく、FXや農業支援、教育サービスや水族館運営と新たな切り口でもビジネスを展開している。
ジャンルを問わず挑戦を続けるDMM.comは、テックカンパニー化に向けた情報発信や人材育成にも力を入れている。同社インフラ部でも最新の技術を積極的に取り入れながら、オンプレミス、パブリッククラウドを含めたサービスインフラ基盤の運用を担っている。その中でもIaaS開発チームはアプリケーションの共通基盤として稼働を続ける5,000台もの仮想マシンを運用し、その要とも言えるストレージにTintri VMstoreを選んだ。
「Tintriほど初期導入が簡単なストレージはない」
2020年春、データセンター最適化のタイミングに合わせ、仮想基盤を強化するためTintri VMstoreオールフラッシュモデルが導入された。IaaS開発チームの高橋尚史氏(以下、高橋氏)は、これまでにも用途や特性に合わせて他社のストレージをいくつも導入してきたという。限られたメンバーで5,000VMという大規模な基盤を運用するだけではなく、サービス開発のリクエストにいかに迅速に応えられるか、というアジリティの向上を常に意識していると話す。そのため、初期設定が複雑なソリューションは最初から候補に入れないという高橋氏は、Tintriについて「これほど初期導入が簡単なストレージは他にないですね」と太鼓判を押す。
「他の製品と比較しても、とにかく設定項目が少ない。本番導入前のテストもシンプルなため工程も時間も短縮できます。」容易なのは導入作業だけではない。統合管理を行う「Tintri Global Center(以下TGC)」についても非常によくできていると評する。例えば製品単体としての機能は優れていても、管理は個々に必要なソリューションは意外に多い。拡張して台数が増えると、その分管理は複雑になり運用負荷が高まってしまう。
その点、TGCでは複数の筐体を横断的に管理できるのが大きな特徴だ。機器単位ではなく仮想基盤全体をVM単位で管理・監視する。拡張する時もTGC配下に筐体を追加するだけで良いとシンプルだ。仮想マシンをストレージvMotion(仮想マシンをライブマイグレーションする)で移動する際も、各仮想マシンの細かいポリシーやメトリックスを保持し、自動的に移行することができるため、運用負荷を大きく軽減できる。
運用の中での気づき
Tintriが提供する「Tintri Analytics」というクラウドサービスがある。稼働中のTintriからデータを収集・解析することで、仮想マシンごとの使用率や容量、パフォーマンスを数クリックで確認できる。迅速な現状把握だけでなく今後の傾向を予測することも可能だ。
「ある時、ストレージへの書き込みが急激に増えてTintriのSSDが短期間で劣化する問題が発生しました」。
そこでTintri Analyticsで確認してみると、すぐに挙動のおかしい仮想マシンが特定された。調査の結果、その仮想マシン上にあるミドルウェアで設定ミスがあり、常にSSDへ書き込みを行っていたのだ。もし原因が特定できなければ、システムへ負荷は上がり続け、全体のパフォーマンスが大きく低下した可能性もあった。Tintri Analyticsによって原因や解決に結びつく情報がすぐに得られた、というこの出来事は印象的だったという。
新しい試みとサポート
いかに優秀な製品を選んでも、小さな問題は生まれる。新しい試みを続ける場合はなおさらだ。解決や改善に向けた技術支援は、Tintriの販売パートナーであるノックス株式会社からサポートを受けている。
「まず製品に対して愛情とも言えるような深い理解があり、こちらが思った以上の提案をしてくれます。良いことも悪いことも率直に話してくれるので、問題が起こったとき、どうすれば解決できるかを前向きにディスカッションできるのはありがたいですね」。
今回の導入では、待望だったという「SyncVM」という機能を新しく追加する予定だ。
SyncVMはタイムトラベルVMリカバリとも呼ばれ、仮想マシンの状態を任意のスナップショット地点まで戻って復元できる。本番環境のデータを開発基盤に即座に移行ができるため、開発・テスト工程の作業コストを大幅に短縮することが可能だ。データ保護の観点からも有効なため、これまで各部門のアプリケーションごとにそれぞれの管理者でバックアップしてもらっていたという環境を大きく改善させる可能性を秘めており、本番環境への展開へ向けてテストを続けている。
Tintriを選んだ理由
実はDMM.comとTintriの出会いは2015年に遡る。まだ国内実績は少なかったが、検証の結果を踏まえ、質の高いサービスを提供できるとTintri VMstoreハイブリッドモデルを導入した。トラブルのない安定した運用と同時に、ベアメタルサーバから仮想基盤へ移行したことで、結果的にかなりのコスト削減が実現できたと振り返る。
「サービスが拡張するたびに仮想化基盤も増強し、その都度Tintriも拡張してきました。いくつかの他メーカーのストレージ製品を運用もしましたが、Tintriの導入の早さやTGCによる統合管理、シンプルな運用などに慣れてしまっていたことに気づき、Tintriの魅力を改めて感じました」という高橋氏は、2020年再びTintri導入を決めた。
「他社ストレージも試したからこそ、Tintriは私たちのアプリケーション開発のスタイルに非常にマッチしていたのだと再認識しました。今回の選択は必然だと思います」。
新たな機能に加え、ハイブリッドモデルからオールフラッシュモデルへと進化した仮想基盤は、これからも最先端のサービスを支えることになるだろう。常に自社に合ったソリューションを柔軟に選択してきたDMM.com。今後はクラウドシフトを視野に入れたTintriの進化に期待したいと高橋氏は語った。