株式会社DMM.comラボ 様

株式会社DMM.comラボ インフラ統括本部 XaaS部 エンジニア 高橋 尚史 氏

時代の変化にも迅速に対応できるサービス仮想基盤構築が課題

会員数1,700 万人、月間約25 億のページビュー数を誇る総合エンターテインメントサイト「DMM.com」をICT で支えるDMM.com ラボ。同社は、事業の企画、営業を行うDMM.com と一体化し、同サービスの要であるシステムの開発・運営からネットワークインフラの提供、Web マーケティング、カスタマーサポートまで事業の基盤を担っている。

いかに人々が求めるサービスを創出しスピーディーに提供していくか―― 事業を担うICT インフラにも、安定性に加えてスピードが必要となる。「各部門へのリソースの安定提供は、サービスを利用するお客様の信頼や満足度に直結します。また人々の嗜好や市場がダイナミックに変化する現在、急な案件にも迅速な対応が不可欠です」と同社 インフラ統括本部 XaaS 部エンジニア 高橋尚史氏は話す。
従来、同社ではサービスを支えるICT インフラの提供を案件毎に行っていたが、サーバー台数が2,000 台までに増大する中での運用は限界を迎えていた。2014 年10 月、同社は全体最適の観点からサービス仮想基盤を構築し、必要なときに必要なリソースを提供できる仕組みづくりに着手。目指すのはリソースをサービスとして提供するXaaS(X as a Service)だ。まずは新規案件をサービス仮想基盤上で動かし、既存システムのリプレースのタイミングで徐々に統合していく。当面の課題となったのは、2015 年夏に本稼働するための短期間構築と少人数での運用だった。

仮想環境に特化した運用のしやすさを高く評価

同社はストレージ担当を設けておらず、統合ストレージの運用も未経験だったことから、サービス仮想基盤のベースとなるストレージの運用は深刻な課題となった。この難題を解決するべく、国内有数のICT インフラの総合サービス企業であるユニアデックスは仮想環境専用ストレージTintri VMstore を提案した。
高橋氏は、VMware が開催する「vForum 2014」ですでにTintri製品と出会っており、仮想環境に特化したコンセプトや特長を高く評価していた。「仮想マシン毎の稼働状況を把握し性能チューニングを自動的に実施するTintri VMstore なら、ストレージの専門知識がなくても安定したパフォーマンスを実現できます」。だが、懸念材料もあった。「当時、Tintri VMstore は国内での導入実績が少なく、情報が不足していました。導入できたのはユニアデックスの後押しがあったからです」と高橋氏は振り返る。
ユニアデックス自社内のICT インフラにTintri VMstore を導入し、その実績とノウハウに基づく提案は説得力があり不安は徐々に払拭されていったという。また機器の貸し出しも受け、障害テストや4 万IOPS の負荷をかけたテストなどの検証も行った。
2015 年1 月、同社は仮想環境での構築や運用の観点を重視し、Tintri VMstore とCisco UCS(Unified Computing System)サーバーを組み合わせた、ユニアデックスの提案を採用。「Tintri VMstore はLUN やボリュームを意識する必要がなく、設計段階を省略できるため構築期間を大幅に短縮できました。設定もIP アドレスを設定するだけ、数十秒で完了しました」と高橋氏。

2015 年夏、サービス仮想基盤は本稼働を開始。当初100 台のCisco UCS(ブレードサーバー)でスタートし、160 台まで拡大。現在、1,000 台の仮想マシンが稼働しており最大2,500台まで増大していく計画だ。またTintri VMstore を2 台導入し、仮想マシン全体を半分ずつに分散させることで、万が一の故障の際には残った1 台で業務継続できるように設計している。

1ミリ秒未満のレイテンシーを維持しサービス品質を確保、圧縮率1.9倍、通常フラッシュヒット率99% を実現

導入後、Tintri VMstoreをベースとするサービス仮想基盤は安定稼働を続けている。「ピーク時に2 万IOPS の負荷がかかっても、1 ミリ秒未満のレイテンシーを維持しサービス品質を保っています。圧縮率は1.9 倍、通常フラッシュヒット率99% で高いパフォーマンスを実現しています。Tintri OS も非常に安定しており、トラブルは全くありません」と高橋氏は語る。

信頼性の向上面での効果も大きい。仮想マシン単位でホスト、ネットワーク、ストレージのパフォーマンスを可視化できることから、ボトルネックの特定にも迅速に対応できた。またTintri VMstore とCisco UCS による仮想環境向けソリューションはユニアデックスに保守の窓口を一本化し、システム障害時のスピーディーな対応を実現。さらに、Tintri VMstoreのレプリケーション機能を利用したDR(Disaster Recovery)の強化も検討している。
今回の実績を踏まえ、2016 年夏には別のデータセンターで同じ構成のサービス仮想基盤が稼働する予定だ。将来の展望について高橋氏はこう話す。「サービスポータルの導入は今後のテーマです。またサービス要件によっては、Tintri のオールフラッシュストレージや、複数の Tintri VMstore を統合管理できるTintri Global Center の活用も検討していきます。Tintriにはシンプルさを大切にしつつ、独自技術による新機能に期待しています。ユニアデックスには保守に加え、当社の視点に立った先進的な提案もお願いいたします」DMM.com の発展とともに成長していくサービス仮想基盤を、Tintriとユニアデックスは密に連携し支えていく。