会津若松市 様
圧縮率2.6 倍、通常フラッシュヒット率100%、チューニングレスで安定運用を実現
市の業務を支える統合仮想化基盤の構築では安定性と運用性を重視
豊かな自然と歴史が息づく会津若松市。同市は地方創生に向けてICTと環境技術を活用し持続力・回復力のある力強い地域社会、市民が安心して快適に生活できるまちづくりを目指し「スマートシティ会津若松」の取り組みを進めている。日本初のICT専門大学である会津大学を中心に産官学連携にも積極的だ。
会津若松市 総務部 情報政策課 総務主幹 本島 靖 氏 |
同市の情報化の取り組みについて、総務部 情報政策課 総務主幹 本島靖氏は次のように話す。「当市の地域情報化計画では『情報化のまち』の実現をテーマに掲げており、協働、防災、市民サービス向上、経済振興の4つのテーマを中心に様々な施策を展開しています。市民サービス向上の観点では、オープンデータの先進的な取り組みに加え、2015年12月から市民が知りたいことに応じて情報が届く、新しいタイプの地域情報ポータル『会津若松+(プラス)』をスタートしました。また防災の観点では市の業務を支えるシステムにおいて業務継続性の確保に注力しています」。
同市は、東日本大震災と震災後の計画停電への対応準備を経験したことで、データセンターへのシステム移行の動きを加速させている。2014年、基幹システムである総合行政システムのハードウェアのリプレースに合わせ、同市のすべてのサーバーを統合する統合仮想化基盤の構築計画がスタートした。安定性と運用性を重視する同計画でキーポイントとなったのがストレージだった。
チューニングレスと仮想マシンごとのパフォーマンス管理を高く評価
会津若松市 総務部 情報政策課 情報管理グループ 主事 栗城 健太 氏 |
当初、導入実績のあった他社製の垂直統合型の構成を中心に考えていたと総務部 情報政策課 情報管理グループ 主事 栗城健太氏は振り返る。懸念されたのはストレージの運用管理が難しいという点だ。「コスト削減の観点から運用は基本的に市が直営で行うため、高度な専門知識を必要とすることなく安定運用を実現できることが不可欠でした」。
ターニングポイントとなったのは富士通パートナーのシンク社からの提案だった。「チューニングレスで常に安定したパフォーマンスを維持できることと、ブラウザ経由で簡単に仮想マシンごとのパフォーマンスを確認できること、この2つの特長を高く評価し従来方針からETERNUS TR series中心のシステム構成に転換しました。データセンターの運用費を抑制するべく、4Uというコンパクトサイズでありながら当市が必要とする容量を確保することができ、全体の構成がハーフラックに収まる点も重視しました」(栗城氏)。
2015年3月、ETERNUS TR850をベースとする統合仮想化基盤の採用を決定。「LUNやボリュームを考える必要がなくIPアドレスを設定するだけで、設定は数十秒で完了しました」と構築を行ったシンク社の担当者は驚きを隠さない。
2015年7月、統合仮想化基盤は本稼働し現在60台の仮想マシンが稼働している。今回、それまで利用してきたNASによるファイルサーバーもETERNUS TR seriesに統合している理由について「Windowsがもつファイルサーバー機能も充実してきており、統合することでリソースの有効活用が図れることはもとより、容量の増減にも柔軟に対応できます。
ETERNUS TR850のデータ圧縮により、ファイルサーバーに割り当てた3TBのうち実使用占有量は1.2TB程度と1/2以下までに削減されました」と栗城氏は話す。
圧縮率2.6倍、通常フラッシュヒット率100%の高いパフォーマンスを実現
ETERNUS TR seriesの導入効果について栗城氏は「仮想マシンの稼働状況に合わせた自動的な性能チューニングにより、常に安定した運用が行えています」と評価しさらにこう続ける。「フラッシュメモリとハードディスクドライブのハイブリッド構成でコストを抑えながら、インライン方式の重複排除と圧縮機能により、圧縮率が2.6倍、通常フラッシュヒット率100%の高いパフォーマンスを実現しています。また仮想マシンごとの稼働状況をGUIで確認できるため、パフォーマンス低下の要因特定も迅速かつ容易に行えます」(栗城氏)。
同市は将来的に統合仮想化基盤上に仮想マシン80台を統合し物理サーバー4台で稼働していく計画だ。その結果、サーバー台数は1/20となり、データセンターに物理サーバーを設置して移行した場合と比べ、運用コストに関して約40%の削減効果を見込んでいる。
会津若松市 総務部副参事 兼情報政策課長 神田 広幸 氏 |
仮想マシンの作成スピードも大幅に向上した。「従来、物理環境ではハードウェアの準備に8週間を要していました。従来の仮想環境では仮想マシンの作成に45分、設定込みで1時間、これでも十分速いのですが、ETERNUS TR seriesを導入した現在は仮想マシンを作成するだけなら数秒、設定込みでも15分程度です。検証用に仮想サーバーを立てるときも非常に迅速かつ柔軟に対応できます」(栗城氏)。
今後について「富士通社には安定稼働のサポートはもとより地域活性化の観点からの支援もお願いいたします。またTintri by DDNには独自性のある技術や製品の開発を期待しています」と情報政策課長 神田広幸氏は話す。
地方創生に向けてICTを積極的に活用する会津若松市。今回の導入において同市のTintri by DDNの先進技術に対する評価は高い。「ETERNUS TR series」をベースとする統合仮想化基盤は会津若松市の今日と明日を支えていく。
※ 富士通の「ETERNUS TR series」は米国Tintri by DDNのOEM製品です。