VMstore T7000をクラウドへレプリケーション – Tintriハードウェアとソフトウェアを分離
Ariane Ruediger(アリアンヌ・ルディガー)*Storage Insiderに2022年12月5日に掲載された記事の翻訳版です。
約4年前DDNの完全子会社となったTintriが大きな新製品リリースを発表した。その最も重要なメッセージは、Tintriのオペレーティングシステムは、ハイパースケーラのハードウェアとは独立して実装されるようになったということだ。
Tintriは、VMとそのデータのためのストレージである。また、DDNとの関係は相乗効果をもたらしているとTintriのCTO、Brock Mowryと話す。「DDNはHPC向けのストレージを扱っており、われわれは仮想マシンを扱っている、つまり、両者は連携して、顧客により多くのものを提供できるようになっています。」
また、Tintriは独立した企業としてオペレーションを行っているが、DDNとの内部的な統合で相乗効果をあげているとのこと。
2社の統合の成功について、Mowryはいくつかの例を挙げている。例えば、3月に発表されたフラッグシップモデル「VMstore T7000シリーズ」のシャーシはDDNから提供されている。
VMstore T7000シリーズは、T7040、T7060、T7080の3つのNVMeマシンで構成され、フラッグシップのT7080は、約5000台の仮想マシンを稼働させることができ、3倍のデータを圧縮・重複排除することで論理的に約380テラバイト(物理では約125TBの容量)相当を提供する。
現在、8TBのドライブがサポートされているが、2023年には15TBドライブの追加が予定されている。これによって、容量はおよそ2倍となる。この製品の特徴の一つは、比較的少数のドライブで始められることがある。「最小構成では、24スロットのうち10スロットから利用を開始することが可能でユーザーのニーズに応じて、徐々に増やしていくことができるのです。」とMowryは述べている。
より高度なシステム制御
Tintriは、Tintri Global Center(TGC)により、Poolingやより高度なシステム制御が可能である。ストレージのリソースは、さまざまなチューニングメカニズムで最適化することができる。例えばAuto QoSは、ファイルシステムレベルで動作し、利用可能なリソースを賢く配分する。この機能は運用中も動作する。ある仮想マシンが著しく大量のリソースを消費した場合であっても、別の定義がされていない限り、他のVM が必要なリソースは確保し、どのVMも安定して稼働させる。
2022年8月は、Tintriは、 VMstoreのOSをハードウェアから切り離し、ハイパースケーラー、当初はAzureとAWSにおいてPaaSとして提供することを決定した。他のクラウドプロバイダーも後に続く予定である。さらに新たな独自の10の機能も発表し、Tintri neXtとして今後18カ月で実現することを発表した。
Tintriの重要かつユニークなセールスポイントの1つは、同社が活用する分析用AIとMLアルゴリズムだ。「それらを使ってワークロードの挙動を詳細に分析し、一定期間内にどれだけのストレージが必要になりそうか、あるいはディザスタリカバリ用のスペースがどれぐらい必要かを予測することもできます。」とMowryは説明する。さらに、Tintriの顧客には分析ツールが無償で提供され、興味のある分析を独自に行うことができる。
AI機能は、例えば1000個の新しいVMを環境に統合するためにどれだけのリソースが必要かをモデル化することも可能で、機器購入の際にも実用的だ。
よりきめ細かなバックアップ機能
今後提供していくtintri.ioのウェブサイトでは、Tintriのクラウドエコシステムで可能になる新しいハイブリッドアーキテクチャについて詳しく知ることができる。また、プロフェッショナルサービスのポータルをWebサイトに統合し、顧客が関連サービスを直接予約できるようにしたいと考えている。これはまず米国から開始する予定だ。「これについては我々はパートナーとも協力しています。」
さらに、Mowryは「ハイブリッドクラウドの世界をサポートしたい」と述べる。
「現在はVMのスナップショットしか取れないが、将来的にはメタデータを追加し、個々のファイルやフォルダーもリカバリできるようにします。」同時に、オンプレミスのT7000をクラウドにレプリケーションし、再び起動させることも可能にする。これは、個々のファイルやフォルダ、VM全体が対象となる。「これは、マイグレーションやディザスタリカバリ、そして開発環境にも有効です。」
強化されたハイブリッドクラウド管理には、仮想ワークロードのクラウドへの移行を加速させる機能も含まれている。例えば、マイグレーションセットを定義し、その後しばらくは両者を同期して運用し、最後にあらかじめ定義したタイミングで最後のマイグレーションを行い、もう一方のスイッチを切ることができるようになる。
包括的な管理を実現
Tintriは、TGCをハイブリッドクラウドの包括的なストレージ管理のハブにしようと考えている。「これまでのところ、TGCは単一のVMで動作しており、拡張性がありません。」とMowryは言う。
今後、システム全体に複数のTGC VMを分散して配置し、異なる役割を担わせることができるようにしていく。例えば、クラウドプロバイダーにあるTGCは、そこにあるデータの分析を担当することができ、ローカルデータセンターにある別のTGCは、カタログ、スナップショット、データレプリケーションなど、VMstoreマシンで発生する作業を引き継ぐことができる。
ランサムウェアからの保護
ランサムウェアに対する保護は、これまで以上に重要な役割を果たすことになる。このため、ロールベースのアクセスコンセプトに、管理者権限に対する多重認証を含むように拡張される予定である。また、ランサムウェアが大きな被害をもたらす前に事前検知するための機能を実装することが計画されている。
「ランサムウェアが大損害を与えているマシンは、過負荷になっていることが多く、動作しているプロセッサは高負荷になっています。」と、Mowryはメトリックスについて説明する。このような事態が検出された場合、管理者にメッセージが送られる予定になっており、管理者も最後に感染前のスナップが作成された時期をすぐに知ることになる。
さらに、サードパーティ製ソフトウェアがTintriのポートフォリオに統合され、APIを介して VM と Tintri に接続することで、独立したネットワークで形成されるクローン環境を瞬時に作成することが可能となる。「これは定期的に Tintri の複製機能を使ってアプリケーション環境を構築することで、デジタルマルウェアの入り口となる箇所を事前に発見して修正する為の検証環境を容易に構築できるようになります。」とMowryは述べる。
また、Kubernetesの機能拡張も重要なポイントだ。すでにVMware Tanzuをサポートしているが、「基本機能」のみである。例えば、QoSやスナップショット、レプリケーションなどはまだ動作していない。「2023年後半には汎用Kubernetesに対応した拡張機能を実装し、さらにTanzu上でも動作するようにします。」とMowryは述べる。
「ハイブリッドクラウド環境でTintriを運用する人は、専門家である必要はないはずです。Tintriが実現するハイブリッドクラウド環境は、全てのVMが管理できる環境であるべきです。」
近い将来、Tintriはクラウドでの提供についてサブスクリプションモデルを検討している。「物理アプライアンスについては、まだ検討中です」とMowryは説明する。また、Mowryはコメントしようとしないが、Tintriは既に新たな取り組みに着手しているようだ。
オリジナル記事URL
Tintri trennt Hard- und Software