「パフォーマンスの見える化」って何?
仮想化が進展したことで、仮想化基盤だからこその課題もでてきました。昨今のストレージ管理にまつわるさまざまな課題を解決する製品が「Tintri VMstore」(以下、Tintri)です。業界唯一の仮想化専用ストレージということもあり、新米情シス担当者から、IT基盤を使ってビジネスに貢献したいと考えているCIOに至るまで、幅広いユーザーから支持を集めています。
実際にTintriは、企業担当者の悩みをどう解決してくれるのでしょうか。前回は、「自動QoS」がどう解決してくれるのかを紹介しました。今回は、CIOの悩みをみていきましょう。
プロフィール
碓氷 晃央(うすい てるお)
CIO。たびたび寒いおやじギャグを披露する。
天鳥 間仁阿(てんとり まにあ)
隣の部署のサービス運用担当。Tintriについてやけに詳しい。自称「スーパーフラッシュマン」。
仮想化基盤はちゃんと動いて……いない!?
碓氷 晃央
ここのところ仮想環境が不安定なんだよなぁ。仮想マシンの立ち上がりが遅かったり、ファイルのコピーが進まなかったり。たぶんストレージがボトルネックだと思うんだが…… 仮想環境がうまく動いてないのはなぜだろう?
「Aシステムの容量は100GB、Bシステムの容量は90GB……… Zシステムの容量は110GB…… いずれも、しきい値130を超えてません。万事OKです!」と運用担当からは報告を受けているし…… 130超えてまずいのはわしの“血圧”なんだがなぁ。
でも、もし仮想化基盤が止まったら原因をどうやって調べればいいんだろう? いまどき仮想マシンごとの容量しかわからなかったら困るよなぁ。社長に聞かれたらなんて言おう……
天鳥 間仁阿
あ、これ「パフォーマンスの見える化」ができてないからっすよ。
碓氷 晃央
君はサービス運用担当の天鳥君!?
天鳥 間仁阿
うちの部署で導入しているTintriには仮想マシン単位でパフォーマンスを見える化する機能があって、ストレージが今どんな状態にあるのか、さまざまな角度から見えるようにしてくれるんです。
碓氷 晃央
いきなりスーツを脱いだと思ったら、何だね、その服は!? 失敬な!
天鳥 間仁阿
ふふふ。何を隠そう、僕はスーパーフラッシュマンなのです! またの名を「単なるTintriウォッチャー」とも言いますが(笑)
それでは、Tintriによるパフォーマンスの見える化について解説しましょう。そもそもTintriは、仮想環境やプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドを構築するのに特化したストレージです。いままでのストレージは、ボリュームやLUN単位で管理していましたが、Tintriはそういった面倒な管理は一切必要ありません。筐体1台をひとつのストレージプールにして、そのプールのなかに仮想マシンをどんどん放り込んでいけばいいんです。
碓氷 晃央
だがそれじゃ、どの仮想マシンがどんな状態にあるかわからなくなり、見える化どころじゃなくなるわい!? 仮想マシンの状態を把握するための仕組みがあればいいんだがなぁ……
天鳥 間仁阿
そうなんです! 仮想環境がどんな状態にあるか、細かく把握できるようにするのがTintriのパフォーマンスの見える化なんです。
パフォーマンスの見える化ってどういうこと?
碓氷 晃央
パフォーマンスの見える化と言っても、実際何がどう見えるのかね?
天鳥 間仁阿
どれだけI/Oの性能が出ているかを見るIOPSとか、どれだけのデータ量を処理しているかを見えるスループットなどのストレージ性能を仮想マシン単位で表示することができますね。また、結構重要なのは、「レイテンシー」です。レイテンシーというのは、I/O処理を実行するのにどのくらいの遅延が発生したかを計測した数値です。レイテンシーが大きいとアプリケーションを使用しているユーザーへのレスポンスが悪くなります。
ボリューム/LUN全体では性能に問題がないのに、アプリケーションは調子が悪いというときがありますよね。そういうときは、仮想環境のどこでレイテンシーが発生しているかを確認すれば、パフォーマンスを改善できることが多いんです。
碓氷 晃央
ほほう、それがTintriではできるとでも言うのかな? わしが知っているストレージでは、そんなことできるわけがないがね。
天鳥 間仁阿
Tintriのパフォーマンスの見える化では、仮想マシンごとの性能を把握できるだけでなく、仮想環境のどこでレイテンシーが発生しているかをビジュアルに把握できます。たとえば「ホスト(物理コンピュータ)」、「ネットワーク」、「ストレージ」それぞれに分けてレイテンシーを表示することができるのです。
さらに、ストレージのレイテンシーについては「リソースの競合(Contention)」、「フラッシュストレージ層 (Flash)」、「ディスクストレージ層 (Disk)」、「IOPS上限を設定(Throttle)」まで細かく見ることができます。
パフォーマンスが見える化されると何か良いことがあるの?
碓氷 晃央
なるほど。パフォーマンスの見える化のいちばんのメリットは、仮想マシン単位でサービスの稼働状態を把握できることじゃな。サービスがおかしくなったときに管理者が原因を突き止めやすくなるし、私も社長にいつサービスが復旧するかを伝えやすくなるわい。
天鳥 間仁阿
実はもっとあるんっすよ! 過去のパフォーマンスを時系列で自動的にグラフ化してくれるんですよ。ホスト、ネットワーク、ストレージで色分けされているので、ボトルネックがどこにあるか一目瞭然ですよ!
それから、特定時点のIOPSとレイテンシーの関係を可視化したものです。2つの指標を組みあわせることで、不具合の原因特定や傾向分析がしやすくなります。
仮想マシン単位での時系列データとして見える化できるパラメータとしては、IOPS、スループット(Mbps)、レイテンシー、ホスト側CPU使用状況、ホスト側メモリ使用状況、パフォーマンスリザーブ値、フラッシュヒット率、使用済みディスク容量など、本当に細かく見ることができますよ。
他社の「可視化」機能とは何が違うの?
碓氷 晃央
さすがマニアじゃな! だがな、「可視化」は多くの企業がキーワードにしているわい。他社との違いは何かな?
天鳥 間仁阿
最大の違いは、仮想マシン単位で見える化できていることです。見える化といっても、ボリュームやLUN単位での可視化にとどまっていたり、内部で何が起こっているかブラックボックスになっていたりします。でもTintriは、仮想マシンをリスト表示できるので、問題の起きている仮想マシンを簡単に特定できますし、その仮想マシンのパフォーマンス問題が、仮想インフラのどこで発生しているかが直感的にわかるんです。
あと、標準機能で提供されていることも大きな違いです。VMware vSphere 6からは、VVolを使って、仮想マシンの状態を把握し制御できるようになりました。でも、それを使うにはVVolを既存のシステムで利用できるようにしたり、ストレージをVVOL対応にアッブデートしたりする必要があるんですよねぇ。ハイパーバイザがHyper-VなどvSphere以外のものを使っていると、そもそもVVolは使えませんし。Tintriがもともと備えている機能ですから、複数のハイパーバイザ環境をサポートしていますし、追加の作業にかかる手間やコストは必要ありません。
パフォーマンスの見える化はどんなときに使うの?
碓氷 晃央
パフォーマンスの見える化をどんなときに使うと便利か、典型的なユースケースを教えてくれるかな?
天鳥 間仁阿
まずはトラブルシューティングです。仮想サーバー上で動作するアプリケーションの調子が悪くなったときに、どうやって原因を探るかを説明しましょう!
最初に必要なのは、原因の切り分けです。原因が物理サーバー側ホストなのか、ネットワークなのか、ストレージなのか。これはさっきのグラフを見ればすぐにわかりますよね。次にホストが遅いというときは、ホスト側のパラメータ見る。もしメモリのスワップが発生していることを見つけたとすれば、あとは仮想マシンのメモリ割り当てを増やすといった対応をすれば、OKです。
碓氷 晃央
おお、これなら新米の悩味君でもわかっちゃったりして(笑)
天鳥 間仁阿
碓氷さんだったら、トラブルシューティングにかかる目安時間を把握するような使い方もいいですよ。原因がピンポイントでわかるので、対策も立てやすくなります。対策がわかったら、10分で済むのか、今日いっぱいかかるのか、対応時間の目安がわかります。
碓氷 晃央
そうじゃな。原因が特定できずに対策を立てるのもままならないことが1番困るからな。取引先やお客さんにも迷惑がかかるし。それが解決するだけでも、会社としては大きなメリットだわい。
天鳥 間仁阿
あとは、容量の増加ペースなども把握できるので、ストレージをいつ増強すればいいかの予測も立てやすくなりますし、将来の設備投資も計画しやすくなりますよ。パフォーマンスの見える化は、さまざまなシーンで活用できるんですよ。
ほかの機能と合わせて使うといいことあるの?
碓氷 晃央
このパフォーマンスの見える化って、単なるストレージが見える化されるだけではなく、システム全体の健康状態のチェックにも使えそうだな。ほかの機能と組み合わせてそういうことはできないのかい?
天鳥 間仁阿
もちろんできるっすよ。可視化された状態は、標準だとTintriのGUIで見るんですが、さまざまなプラグインに対応しています。VMware環境だったら、VMware vSphere Web ClientにTintriのプラグインを組み込んで、VMware vCenterからTintriのパフォーマンスを見える化できます。また、Hyper-V環境にも対応しているので、System Centerからパフォーマンスの見える化を実現できます。
あと、面白いのはAPI連携ですね。TintriのAPIを使ってチャットボットを作れば、たとえばスマートフォンからメッセージを送るだけで、「I/Oレイテンシーは○○」と教えてくれます。もし碓氷さんが気になるなら、ゴルフ場からストレージの負荷を逐一知ることだってできますよ。
碓氷 晃央
ナイスチャット! (ププッ!)
パフォーマンスの見える化をうまく使っているユーザー事例は?
碓氷 晃央
ユーザー事例はあるかな? パフォーマンスの見える化をうまく使って、大きなトラブルを回避したとか、効率性を高めてコスト削減につなげたとか……
天鳥 間仁阿
それこそたくさんありますよ。会計事務所や地方公共団体に特化したユニークな情報サービスを展開するTKCさんもそうです。TKCさんでは、パフォーマンスの見える化を使って仮想マシン単位の迅速な状況把握を実現し、効率的かつ効果的な運用を可能にしました。さらにVMware vSphere PowerCLIやVMware vRealize Operations (vROps)を駆使し、レイテンシー、パフォーマンスリザーブ、フラッシュヒット率にしきい値を設定してアラートを自動発信することで、性能監視の効率化を図っています。
もともと従来型の汎用ストレージを使っていたのですが、パフォーマンス問題の原因を把握できずに苦労していたそうです。Tintriは、どこにボトルネックがあるか一目瞭然ですし、トラブルシューティングの短縮化が可能です。「Tintriのパフォーマンス見える化のおかげで、的確な対処がでるきようになった」とおっしゃっていましたよ。
碓氷 晃央
天鳥くんはずいぶん詳しいのう! そうじゃ、御礼にもし良かったら、わしの行きつけの立ち飲み屋にでも……
天鳥 間仁阿
遠慮しときます! 忘却光線!
次回は、「スナップショット」と「クローン」について天鳥くんが熱く語ります!
※本ページは、『マイナビニュース』へ掲載された記事広告を転載しています。