「自動QoS」って何?
仮想化の進展とともに、企業のストレージ環境にはさまざまなワークロードが混在するようになりました。ファイル、メール、データベース、業務アプリケーション、仮想デスクトップなどがひとつの仮想化されたシステム基盤で稼働しているケースも珍しくありません。
一方で、仮想化基盤だからこその課題も出てきました。よくあるユーザーのお悩みは「全体的にシステムが遅い」、「障害の原因がどこにあるかよくわからない」、「物理環境より管理が難しくなった」などです。
こうした、昨今のストレージ管理にまつわるさまざまな課題を解決する製品が「Tintri VMstore」です。業界唯一の仮想化専用ストレージということもあり、配属間もない新米情シス運用担当者から、機能を使い倒さないと気がすまないマニアまで、幅広いユーザーから支持を集めています。
実際にTintri VMstoreは、情シス運用担当者の悩みをどう解決してくれるのでしょうか。今回から12回にわたって、現場でよく聞かれる質問とその回答をまとめていきます。
プロフィール
悩味 杉夫(なやみ すぎお)
4月に社内異動してきた情シス運用の新米担当。日々、ストレージの運用に悩みが尽きない。
天鳥 間仁阿(てんとり まにあ)
隣の部署のサービス運用担当。Tintriについてやけに詳しい。自称「スーパーフラッシュマン」。
仮想環境が不安定…… どこがおかしい?
悩味 杉夫
ここのところ仮想環境が不安定なんだよね。仮想マシンの立ち上がりが遅かったり、ファイルのコピーが進まなかったり。たぶんストレージがボトルネックだと思うんだけど…… 仮想環境がうまく動いてないのはなぜだろう?
天鳥 間仁阿
あ、これQoSが入ってないからっすよ。
悩味 杉夫
君は隣の部署の天鳥君……!?
天鳥 間仁阿
うちの部署で導入しているTintriには仮想マシン単位で動作する自動QoSっていう機能があって、仮想環境が不安定にならないようにしてくれるんです。
悩味 杉夫
いきなりスーツ脱いだと思ったら、何その服!?
天鳥 間仁阿
ふふふ。何を隠そう、僕はスーパーフラッシュマンなのです! またの名を「単なるTintriウォッチャー」とも言いますが(笑)
それでは、Tintriの自動QoS機能について説明しましょう。そもそもTintriは、仮想環境やプライベートクラウドやハイブリッドクラウドを構築するのに特化したストレージです。いままでのストレージでは、ボリュームやLUNで管理していましたが、Tintriはそういった面倒なことは一切必要ありません。筐体1台を1つのストレージプールにして、そのプールのなかに仮想マシンをどんどん放り込んでいけばいいんです。
ただそういうことをすると、仮想マシン同士でCPUやメモリのリソースを奪い合って、「むしろ遅くなるのでは?」って考えてしまいますよね。
悩味 杉夫
ノイジーネイバーの問題だね。
天鳥 間仁阿
はい。仮想環境が不安定な原因はたぶんそれですよ。そういうノイジーネイバーも含めて、仮想環境がうまく安定して動くように対処してくれるのがTintriの自動QoSなんです。
自動QoSってどんな機能なの?
悩味 杉夫
QoSは、「Quality of Service」の略だよね。具体的には、どういう仕組みでサービスレベルを制御するの?
天鳥 間仁阿
仮想環境が安定して動くには、それぞれの仮想マシンがリソースを独り占めしないようにすることがポイントです。従来型のストレージでは、フラッシュやディスク上にどんな仮想マシンがそれぞれどんな状態でいるかは認識できませんでした。でも、Tintriは、仮想マシン1台1台がどこにどんな状態で格納され、どう動いているかまで認識できるんです。
だから、ある特定の仮想マシンの負荷が上がりリソースを独り占めしようとしたら、そのことを認識してサービスレベルを一定レベルにとどめることができる。逆に、ある特定の仮想マシンがリソースを必要としていたら、全体に影響がでないように、ほかの仮想マシンのサービスレベルを調整してパフォーマンスを最適化する。
そうした仮想マシン単位でのQoSの管理をストレージ側で自動的に行ってくれるのがTintriのすごいところなんです。
自動QoSは何が便利なの?
悩味 杉夫
なるほどね。じゃあ、自動QoSのメリットは管理しなくてもいいところ?
天鳥 間仁阿
そうっす。QoSの値を自分で設定することは可能です。でも、仮想環境やクラウドの良さは、業務やニーズにあわせて、柔軟かつ迅速にコンピュータの利用環境を提供できることです。そのたびにQoSを手動で設定していたら、手間がかかってしまって大変ですよね。これではせっかくの仮想環境のメリットが生かせなくなってしまいますから。
一方、Tintriなら自動でどんどん環境変化に対応していくことができます。仮想マシンの稼働状況を把握して、5%、10%、15%などと自動的にリソースを分配し、変化にもダイナミックに対応し続けることが可能です。当然、時間やコストの大幅な削減にもなりますよね。
他社ストレージの機能とはどう違うの?
悩味 杉夫
でも、そういったQoS機能は他社にもあるんじゃないの?
天鳥 間仁阿
他社にもQoS機能を備えた製品はあります。でも、LUNやボリューム単位で設定はできても仮想マシン1台1台で設定することはできないですね。どうしてもやるとしたら、1つのLUNに仮想マシンを1台ずつ配置するしかないっす。でもそれでもQoSの「自動」での制御はできないんですよ。たとえば、vSphere 6.0からは、VVol(VMware vSphere Virtual Volumes)を使って、仮想マシンの状態を把握し制御できるようになりました。でも、多くの設定は手動で行っていく必要があります。
新しいアプリケーションを追加したり、古いアプリケーションを廃棄したりすると、その都度全体のバランスを考えて、ポリシーの設定や適用方法を見直さなければならないんです。
もちろん、VVolを導入していない従来型のSANストレージでは、仮想マシン1台1台を認識することはできませんから、QoSもできませんよね。
自動QoSは、どんなときに使うの?
悩味 杉夫
自動QoSについてはよくわかったよ。でも、そもそもどんなユースケースが考えられるんだろう?
天鳥 間仁阿
自動QoSが威力を発揮するのは主に2つですね。ひとつは、仮想デスクトップっす。仮想デスクトップは、出社したときにみんなが一斉にPCを電源オンすると、起動がやたら遅くなることがあるんっすよ。
悩味 杉夫
いわゆるブートストームだね。うちの部にクレームがいっぱい来てイライラするよ。
天鳥 間仁阿
そうっす。でも自動QoSを使うと、ストレージ性能が各デスクトップに適切に配分されるのでそういうのはなくなりますよ。出社時もお昼休み明けも、まったく遅くならないので、仕事もはかどります。
もうひとつは、仮想サーバーの統合基盤です。業務アプリケーションがどんどん追加されていくような環境だと、リソースをどう割り当てるかの判断が難しい。また、仮想サーバーの数が多くなると管理者が動きを把握しきれなくなります。割り当てミスでパフォーマンスが落ちると業務にも影響がでます。でも自動QoSなら、変化にも自動で追従します。だから、ビジネスもはかどるんです。
悩味 杉夫
でもそういうのって、爆速オールフラッシュストレージにすれば何も考えずに解決するんじゃないの?
天鳥 間仁阿
浅いっすね…… オールフラッシュにすれば確かに速くはなります。でも、仮想マシンを区別していないので、特定の仮想マシンが大量のI/O処理をしたら、フラッシュの性能を独り占めして、他の仮想マシンはやっぱ割り食って遅くなってしまうんですよ。根本的な問題を抱えたまま速くしても、いずれ限界にぶち当たることは変わらないんです。特にオールフラッシュを導入したら欲張ってたくさんの処理をさせようとするじゃないですか。で結局性能の限界が来ちゃうんっすよ。
もともとTintriは、フラッシュとディスクを組み合わせて効率的に使う「FlashFirst」という特徴的なアーキテクチャを備えています。そのアーキテクチャのうえでQoS機能が動作するわけですから、オールフラッシュのような富豪的な解決策とはワケが違うんですよ。
ほかの機能と合わせて使うといいことあるの?
悩味 杉夫
Tintriのほかの機能と組みあわせたときでも、ちゃんと動作するの? たとえば、データを暗号化したら自動QoS機能が動かないってことなら、ちょっと残念じゃない?
天鳥 間仁阿
セキュリティ要件がからむと、そういうケースがよく起こりますよね。でも安心してください。Tintriにはそのための機能も備わっています。
「SecureVM」という保存データをリアルタイムでAES-256ビット暗号化する機能があって、それを使うと、アプリケーションのパフォーマンスに影響を与えることなく、自動QoS機能を使うことができるんです。
QoS機能をうまく使っているユーザー事例は?
悩味 杉夫
ユーザー事例はあるのかな? QoSを使って効果を上げている企業とか…… 具体的な使用方法が知りたいな。
天鳥 間仁阿
NTTネオメイトさんの事例が面白いっすよ。NTTネオメイトさんでは、Tintriを共通基盤にしたデスクトップ仮想化サービス「AQStage(アクステージ)仮想デスクトップ」を提供しています。そのサービスなかで、自動QoS機能に加えて手動QoS機能を使ってIOPSの上限値と下限値を設定し、性能保証で付加価値を付けています。上限値の設定はよくある話だけど、下限値による性能保証を実現している点はあまり例が無く先進的ですね。
たとえば、突発的な負荷増大に対しては常に20IOPSを確保する「ディスク性能予約機能」を標準で提供しています。また、高負荷のアプリケーションを常に利用したいユーザー向けには、30IOPS/40IOPSを保証する追加オプションを提供しています。うまくTintriの機能をビジネスにまで生かしているんですよ。
悩味 杉夫
なるほど~ 勉強になったよ。天鳥君ありがとう! でもどうしてそんなに詳しいの?
天鳥 間仁阿
忘却光線!
次回は、「I/O可視化」について天鳥くんが熱く語ります!
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