ファットクライアントとシンクライアントとのそれぞれのメリットとデメリット

クライアント端末にはファットクライアントと呼ばれる従来からのものと、シンクライアントと呼ばれる新たな端末があります。

ファットクライアントのメリットについて

ファットクライアントとは、従来からのパソコンに代表されるようにクライアント側であらゆる処理が実行できるように記憶媒体やアプリケーションソフトなどの環境をすべて実装したコンピュータのことをいいます。もともとはこうした端末は単純にクライアントとかパソコンと呼ばれていましたが、シンクライアントというデバイスが普及し、その言葉が広く使われるようになったことから、それと区別する意味からファットクライアントと呼ばれるようになったのです。こうしたファットクライアントであればあらゆる作業はネットワークを介さずにオフライン状態においても独自に完結させることができますし、データの保存も端末上でできますので、高度な業務を単独でこなすことが可能になります。これはファットクライアントのもっとも大きなメリットということができます。

ファットクライアントのデメリットとは

ファットクライアントは従来からのパソコンとしての利用によるメリットがある一方で大きなデメリットも抱えることになります。
まず導入コストは非常に高くなり、高機能商品はハードディスク、メモリなどをすべて個別実装していることから単価も高くなり、リース等を使うとしてもそのトータルコストは大きなものになります。
またセキュリティ面は個別のデバイスごとにユーザーが面倒を見ることになり、外部からの一元管理は難しく、しかもユーザーの利用レベルによって様々な問題が発生することになることから利用におけるリスクは高くなります。
最近頻発するデータの流出関連では、ネットワーク上の外部からのアタックでデータが盗まれることも多くなっていますが、国内ではもっともリスクが高いのは従業員や非正規雇用の人間が社内から持ち出すケースで、実は事件としては圧倒的に内部のものによる犯行が増えているのが実情です。この視点で考えてもあらゆるデータを内臓しているファットクライアントには大きなリスクが伴うことになるのです。
また地震や事故といった大規模災害が起きた場合には、個別にしっかりとしたバックアップがとっていない限りBCP/BCMの観点から見ると膨大な被害を受けることになり、簡単なディザスタリカバリィも実現できないという大きなデメリットを抱えることになるのです。

シンクライアントのメリットについて

ファットクライアントの様々なデメリットを解決するために生まれたクライアント端末がシンクライアントと呼ばれるデバイスです。シンクライアントのシン(Thin)は日本語では薄いという意味にあたります。ディスプレイ、キーボード、マウスといった最小限の入出力機能と、サーバに接続するための最小限のネットワーク機能を備えているという特徴から、Thinと名付けられています。クライアント側にデータを持たせないという特性から、機密情報や顧客情報の漏えいを防止できるというセキュリティ面のメリットにもつながるため、最近の企業情報システムではシンクライアント端末が主流になりつつあります。
また、他にも安価で導入できるというメリットもあります。さらに、在宅勤務などでも自宅からアクセスすればすべての情報やアプリケーションにネットワークから接続できることから会社で勤務しているのと同じ環境で働くことができるという大きなメリットを持っています。
したがって大規模な災害などに遭遇してもサーバーだけしっかり生き残っていれば、場所を換えてすぐに業務を再開することができ、BCPの視点でも大いに活用できるものとなります。 

シンクライアントの課題

シンクライアントがもつ大きなデメリットは、ネットワークに接続できる環境がないとまったく何も利用できないということです。データの取り出しや保存をはじめ、デバイスを利用して稼動させるアプリケーションソフトもすべてシンクライアントの外部のネットワークにアクセスして利用することになりますからオフラインでできることはまったく何もないというのが大きなデメリットになってしまいます。
一般的にはネットへは無線も含めて常時接続が可能になってきていますので、まさかの事態がないかぎりはこのデメリットを感じることはなくなってきています。
 
このようにクライアント端末にはファットクライアントとシンクライアントの二つが今も存在していますが、時代の流れとしてはシンクライアントへとシフトしつつあり、大手企業を中心にファットクライアントからシンクライアントへの乗り換えが進んでいる状況です。また端末自体もいわゆるPCの形式のものからタブレット形式のものが採用されるケースが増えてきており、そもそもクライアント端末が果たす役割や形式といったものが大きく変化してきていることがわかります。

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