SDSの種類と用途

■SDSの定義とは

SDSの概念や定義については、国際的なストレージ業界団体であるSNIA(Storage Network Industry Association)が標準化に向けて細かな定義を行っています(ちなみに、Tintri by DDNはSNIA Japanのメンバーです)。それによりますと、SDSの必須要件としては自動化、標準化されたインターフェース、仮想化されたデータパス、拡張性、透過性の5つの項目が定義されています。まず自動化ではストレージの運用を自動化し、運用の複雑性やコストを低減することができることとしています。また標準化されたインターフェースではストレージの管理や活用に係る操作を標準的なAPIで操作できることと規定しています。また仮想化されたデータパスではブロック、ファイル、オブジェクトといった多様なインターフェースをサポートできることと規定しています。さらに、拡張性については可用性やパフォーマンスに影響なく、柔軟にストレージインフラを拡張できるものとしています。透過性については、ストレージ利用者自身がリソース利用率やコストなどをモニタリングし管理できることが要件に盛り込まれています。
こうした要件はまだ完全にSDSとして標準化されているわけではありませんが、今後すべての製品が益々この方向に収斂していくことが予想されます。

■SDSの種類は豊富

現状で市場に投入されているSDS製品は、単独の製品で上述のように定義された機能をすべて満たすものは殆どなく、その一部をカバーするものが多いのが現状です。
現存する製品としては、コントロールプレーンの領域ではストレージ制御や自動ソフトウエアの領域でデータパスに介在せず、異機種ストレージ環境に対応し、ポリシーベースのプール化が行われるものや高度が自動化を実現したものが登場しています。
またコントロールプレーンのストレージ仮想化の領域では、データパスに介在しストレージを仮想化するものや異機種ストレージ環境に対応し、無停止で筐体間のデータ移動や移行を実現するものが登場しています。
一方データプレーンの領域では、サーバー動作型ストレージソフトウエアは専用ストレージハードウエアではなく、汎用サーバーを利用してストレージを構成するものも登場しています。
さらに、データプレーンの領域では仮想アプライアンス版ストレージも登場しており、既存のストレージ製品のOSやファームウエアを仮想アプライアンスとして提供するモデルや汎用サーバー、クラウドサービス上で動作可能なものが発売されています。
このように、既に様々な種類の製品が投入されるようになっていますが、その目的と期待される効果はかなり異なってきますので、まず利用者視点でのニーズありきで製品導入を考えていくことが重要になりそうです。

■現状における最大の用途として期待されるSDDC

これまで仮想化データセンターはIT能力だけを提供するサービスとして機能してきました。しかし、クラウドの進展により、SaaS,PaaS,IaaS,STaaS(Storage as a Service)といった総合的なサービスの実現にあたって、適切なIT能力を提供するためにアプリケーションSLAポリシーに基づいた自動化が求められることになり、SDSを利用したSDDC(Software Defined Dada Center)の概念を実現させることが、この製品領域の大きな最終用途して考えられるようになってきています。SDDCを利用することによりユーザーは、自分の利用しようとする業務に最適なリソースを簡単に選択することができるようになるため、さらにデータセンターがカスタマーセントリックなサービスへとレベルアップすることが期待されるというわけです。
SDDCは、物理ハードウエアから抽象化によってプール化された仮想リソースの利用によりサービス指向のITインフラへと進化することを示唆しているといえます。人による管理からソフトウエアを使った自動化を実現することですべてを解決させていくという考え方です。
今のところSSDCはそのコンセプトだけができており、現実化に向けての模索が進んでいる状況にありますが、クラウドの利用がかなり広範に進むようになり、ERPなどかなり企業にとってはクリティカルな基幹システムもこうしたクラウドのデータセンターで可能になれば、アプリケーションSLAポリシーに基づいた自動化が求められるのはもはや必至の状況であり、多くのデータセンターがこの方向に向かってシフトしていくことが予想されています。